ロシアの喉歌(のどうた)の超絶名人5人(動画)

 民謡のパフォーマンスは退屈でも物悲しくもない!シベリアとウラルの民謡歌手が飛ばしたヒットは、コンサートやパーティーで若者を熱くする。それもロシアでだけじゃない。

 あなたは、フーメイ(ホーメイ)と呼ばれる喉歌(のどうた)を聞いたことがあるだろうか?これはユニークな歌唱法で、アルタイ山脈周辺の諸民族に、ロシアとモンゴルにまたがって古来より広まっている。この歌唱法のオリジナリティは、喉頭から同時に、一つではなく二つの音を出す点にある。喉歌はふつう、自然を模倣する。風のそよぎ、木の葉のざわめきから、鶴や牛の鳴き声にいたるまで。

 現代のアルタイの音楽家は、しばしば歌にフーメイを用い、さらに、この手法で欧米のロックヒットをカバーし、民謡とダンスミュージックを融合させる。

1. アレクサンドル・クーラル

 トゥバ共和国出身の音楽家。有名なヒット曲を見事にリミックスする(*リミックスとは、既存の複数の曲を編集して新しい曲を作る手法)。だまされたと思って、「Numb」を聞いてみてほしい(グループ「Linkin Park」)!

 「喉歌でミックスを作り(*ミックスは、複数の音声ファイルを合わせて一つの音声ファイルを作成すること)、何か新しいものを創り出すのが好きだ。それもカバーだけでなく、オリジナル曲を作るのが好き。喉歌は、私たちの文化のとても大切な部分」。彼はロシアのメディアにこう語った。 

 これがアデルの「Rolling in the Deep」のカバーだ。 

 さらにアレクサンドルは、自分のYouTubeチャンネルで、喉歌の技に関するマスタークラスを開いている。ひとつ喉歌に挑戦してみようかな、という人にとって、とても便利だ!

2. フーン・フール・トゥ

 このグループ名はトゥバ語で、訳すと「雲間の陽光がたくさんの光線に分かれること」。彼らは、伝統的な楽器と喉歌の技を用いて、アルタイの民間伝承を奏でる。楽器のなかには、シャーマンの使うタンバリン風のものも含まれる。これは、世界で最も有名なロシアの民族音楽グループの一つだ。

3. チュルゲン・カム

 彼は、シャーマンDJと呼ばれている。チェリャビンスク出身のチュルゲンは、実際にシャーマンの家系に属し、伝統的な儀式を行う。その一方で彼は、しばしばウラルで、電子ダンスミュージックを演奏する。それは、民謡の旋律、喉歌、そして凄まじいばかりのエネルギーで「味付け」されている。これを聞いたら、誰もが踊らずにはいられない!

4. チュイルトゥイス・タンナガシェワ

 女性の喉歌の歌手は、信じ難いほど珍しい。チュイルトゥイスは独学でこれを身に付けた。とはいえ彼女は、先祖代々が叙事詩の語り部という家庭に生まれたので、歌うことは、彼女にとって家族の伝統をある面で継承することでもある。

「私にとって、これは身体全体が求めるものであり、私の単なる欲求ではない。それは私の中から生まれる。私がどうこうできるものではない」。彼女は言う

 彼女は、自分の民族とその文化について歌い、自分で作詞作曲する。ちなみに彼女は、パスポートに記載された名はオリガだが、自動車事故に遭った後、チュイルトゥイスと名乗るようになった。これは彼女の母語、ショル語(*シベリアの少数民族、ショル人の言語)で、「星」を意味する。

5. ドブルイニャ・サチン

 このミュージシャンは、ゴルノ=アルタイスク市出身で、古代ロシアの勇士ドブルイニャの名をもち、アルタイの叙事詩を歌う。

「私の楽器はトプシュルと呼ばれる。これは、カイチつまり語り部になくてはならぬもの。カイチはアルタイの叙事詩を物語る。この楽器は、語り部が一種のトランス状態に入るのを助ける。私たちの叙事詩は長大だ。演奏の前に語り部がトプシュルに助けを求めると、この楽器は語り部をその世界に連れて行ってくれる」。彼はアルタイの人々に関するドキュメンタリーでこう語った。 

 フーメイが、ドブルイニャの現代的アレンジでどんな響きを奏でるか、とにかく聴いてみてほしい!

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