核戦争は終わり、全ての都市が破壊されてしまったため、人々は地下鉄の駅に住まなければならなくなった。ドミトリー・グルホフスキーによる幻想的なこの本は主に、モスクワの地下鉄が舞台となって、急速に文明が築かれていく様子が描かれる。いくつかの駅は独立し、いくつかは犯罪集団の基地に変わり、他の駅は弾薬を通貨として用いる独自の経済圏を作り上げた。物語は、主人公24歳のアルチョムがある駅を攻撃する危険な新しいミュータントに対する武器を探すところから始まる。
グルホフスキーは当初、文章を章ごとにオンラインで公開したことで何千人もの注目を集め、2005年に実際に本が出版されることになった。今や、このメトロシリーズはグルホフスキーだけでなく他の作家によっても本が出版されるなど巨大なファンタジー世界を構成している。ストーリーに基づいたゲームも四作発売されている。再試んっさくの「メトロエクソダス」は2019年初頭に発売された。
ロシアのポストモダン小説の象徴的な作家ヴィクトル・ペレーヴィンの最初の本、『オモン・ラ』は、スリラーであり、ソビエトの教育小説のパロディでもある。
オモン・クリヴォマゾフという変わった名前を持つソビエト連邦の少年は、宇宙飛行士になることを夢見ており、幼少期から飛行学校までこの夢を追う。最終的に、彼は月に飛ぶ準備をしている宇宙飛行士の部隊に入ることに成功した。
実際、このプロットは、1人の宇宙飛行士の話というよりはるかに複雑で多面的なものだ。ペレヴィンの目標は、簡単には理解できないような形で共産主義のメタファーとして宇宙を使い、ソビエト連邦における全体主義システムを暴くことにあった。
作者のヴォドラスキンは、いわゆる非歴史小説というジャンルで、ロシア・インテリゲンツィアのスタイルとソビエト官僚のスラングを模倣することで、古い文体を現代のものにスイッチして言葉遊びをしている。
物語は15世紀の中世ロシアが舞台だ。人々を癒す才能のある薬草師アルセニーを中心に展開する。彼の妻は出産中に亡くなり、彼らの息子も子宮で亡くなった。アルセニーは彼の人生を捧げて妻との記憶のために祈り、聖なる愚者、僧侶になり、最終的にラヴルという名前となった。彼は人々を癒すためさまよい、妻と彼自身の許しを得るためにエルサレムへ巡礼に行った。
各章で、ヴォドラスキンは時間軸、環境、名前を変えるが、主人公は人生を通して何度も苦労をする。
『ナイト・ウォッチ』は、SF作家セルゲイ・ルキャネンコによるウォッチシリーズ最初の本だ。書籍、映画、音楽など、このシリーズに関連するものすべて、2000年代初頭のロシアで非常に人気があった。
異能を持つ人で構成される2つの対立するグループが、現代のモスクワで争う。両者ともアザーズと呼ばれ、彼らはこれらの人々に対処する責任がある。ナイト・ウォッチはダーク・アザーズを、デイウォッチはライト・アザーズを制御する。
小説の最初の部分は、ナイト・ウォッチの工作員であるアントン・ゴロデツキーが、人々に対する違法な吸血鬼狩りの事件を解決し、壊滅的な黒い呪いの煙突からモスクワを救う場面になっている。
第二部では、ダーク・アザーズの一人が不可解に殺され、アントンが主な容疑者になってしまう。彼は彼自身で調査を開始することを決め、真犯人を捜す。
物語の最後の部分では、ナイト・ウォッチが特別なチョークを見つけ、運命の本を修正し、両ウォッチの対立を再び引き起こす。
この本は、19世紀の民間の調査官エラスト・ファンドリンに関するシリーズの最初の本であり、この若い探偵のキャリアの初期を描く。彼は裕福で強力な家庭で育ったとある学生の自殺を調査し、最終的に影響力のある地下組織に出くわす。
このシリーズでは、ボリス・アクーニンは、政治、スパイ、陰謀といったすべての探偵ジャンルを融合し、シリーズのそれぞれの本はそれら特定のスタイルで書かれている。『堕天使(アザゼル)殺人事件』自体は陰謀探偵小説として描かれている。
ちなみに、『堕天使(アザゼル)殺人事件』は、この本に登場するロンドンのホテルの名前だ。この本のロシア語版には、アザゼルという別名がある。これは、古代ユダヤ人の信仰によると、「砂漠の悪魔」を意味する。従って、ロシア語で読む場合は注意しよう。
ボリス・アクーニン(本名はグレゴリー・チュハルティシュヴィリ)は、友人と賭けて執筆活動を始めた。彼は、全国の書籍市場で見かけた低俗な探偵小説に飽きて、このジャンルが本当は深いながらキャッチ―で面白いということを主張するため本に書くことにしたのだ。
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。