ハリウッド映画は現代ロシアをどのように描いているか(画像特集)

Hellbus;Legion Media;Francis Lawrence/20th Century Fox ; Matthew Ross/Buffalo Gal Pictures
 ソビエト連邦の崩壊からわずか30年だが、新しい「クランベリー(でたらめ)」をこれほど迅速に見つけることは不可能だろう。

 ハリウッド映画すべてに紋切型が使われ、それは次の映画にも利用される。爆弾は爆発の1秒前に解除することができ、通風孔を使えば常に誰にも気づかれず適切な場所にたどり着くことができるのだ。また、他の国を映す必要がある場合、監督も通常は緊張することはない。パリではエッフェル塔がどのホテルからも見え、周囲の人々によってとてつもない量のバゲットとクロワッサンが消費される。またハリウッド映画では、ロシアをステレオタイプ的に映し出す。毛皮のコートを着た女性、酒に酔った男性、キリル文字で書かれたアブラカダブラなど。

1.ロシアは闇く貧しい、そして西洋は美しい

 故意かどうかわからないが、この手法はロシアに関するほとんどすべての映画で使用されている。映画の中のロシアは、太陽が輝かず、人々が均質な大衆として描写される、暗くて陰気な場所として描かれている。周囲はすべて、グレーとブルーの不快な色で塗られている。

 例えば、映画「レッド・スパロー」(2018)では、主人公は完全にステレオタイプ的な環境の中で描かれている。コートを羽織り、グレーのスーツを着て、集合住宅のインテリアには気が滅入る。そして街の路上にはほとんど人がいないのだ。人々が外出禁止令のために家にこもっていたのは明らかだ。そう、これがモスクワなのだ!

 陰気なロシアは、活気のある西洋とは対照的だ。ジェニファー・ローレンスが演じる「レッド・スパロー」の主人公がヨーロッパに入るとすぐに、すべてが変化する。彼女はすぐに明るいメイクをして、髪型を整え、きれいな服を着る。これは奇跡ではないだろうか?

 また、キアヌ・リーブスが出演したヤクーチアからのダイヤモンドを密輸する映画「ブルーダイヤモンド」(2018年、英語タイトルはSiberia)もそうだ。主人公のアメリカのアパートには、鮮やかな白いキッチン、近代的な電化製品、明るい料理がある。しかし、ミールヌィにある家にあるのは、汚れたピンクの戸棚のついたキッチンで、すべてが色あせていて陰鬱な雰囲気だ。

2.技術発展はロシアには訪れなかった

 理由は明らかではないが、映画の現代ロシアが貧しいだけでなく、技術的にも遅れている。モスクワで撮影されたトム・クルーズ出演の映画「ミッションインポッシブル」(ゴーストプロトコル、2011)を覚えているだろうか。主人公は、(スマートフォン時代においては完全に「目立たない」ものになっている)ソビエト時代の公衆電話で秘密の使命を得るために中心部の路地へ行くのだ。 「レッド・スパロー」のヒロインも2018年なのに公衆電話を使用している。

3.ソビエト連邦がまだ存在する

 「レッド・スパロー」に登場するスパイ学校のインテリアは、ソビエト時代の公共施設に着想を得ているのは明白だ。窓には色あせた赤いカーテンがぶら下がっていて、ソビエト時代からありそうなモザイク画が壁に掛けられている。そして草刈場の刈り手は3年内に五か年計画を立てるようだ。ロシアについての映画の二つに一つは、ソビエト連邦への言及がオリヴィエサラダのマヨネーズのようににじみ出る。

 「ヘルボーイ」(2004)には、モスクワにある(ロシア人の耳には良い音には聞こえない)トボックバ軍事基地が登場する。その標識によると、一か所の事務局と二か所の倉庫がある。看板には、おそらく平均的なアメリカ人を怖がらせるだろう鎌、ハンマー、「ソビエト連邦」の文字が見られる。倉庫内にはソビエトの国旗に似たものも飾られているが、それは星がハンマーと鎌を囲んでいる。

4.雪のないロシアは?何を考えているかわかっているのか!

 ロシアの暑さを描いたハリウッド映画を1つでも思い出せるだろうか? 「レッドブル」はカウントできない。それは何か別のものだ。ビーチ、海、太陽があったことがあろうか?ないだろう。しかし、ひどく雪に覆われた通りならばいくらでも見られる。例えば「レッド・スパロー」に登場するモスクワの閑静な住宅街は、野良犬がさまよい歩き、何棟かの高層ビルのあるつまらない場所だ。そして、スパイ学校へ至る人通りの全くない雪道はなんてシックなのでしょう!

 モスクワ近郊のヴォロコルムスクでラスプーチンの墓を探していた「ヘルボーイ」のワンシーン。

 「ブルーダイヤモンド」は暖かい季節のカナダで撮影されたため、フレームには緑がしばしば映っているなど、ヤクーチアが舞台の映画としては雪が十分ではなかった。しかし、最も劇的な瞬間には、編集の手心によって雪が追加されている。

 ロシア人は冬に家にいるだけでなく、世界中のどこにでも行く。引退したエージェントを描いた「RED/レッド」(2010)では、ブルース・ウィリス演じる主人公がロシア大使館に到着したその瞬間まで外は暖かかったが、建物から出ると吹雪が吹き始める。

 そしてもちろん、大使館の入口はクマ(残念なことに、偽物)が守っている。

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