ワーナー・ブラザーズが『スーパーマン:レッド・サン』を映画化 何が期待できるか

DC Comics, Superman:Red Son, 2003
 鋼の共産主義者は、皆の期待通り礼儀正しい男だ。アメリカ人はそうではない。

 DCコミックスの新しいアニメーション映画の制作が進んでいる。ワーナー・ブラザーズが、スーパーマンを共産主義国という別世界に置いたコミックス・シリーズを基に、2020年に公開予定の作品を作っているという。スーパーマンのファンが新しい映画に期待できることをいくつか挙げよう。

スーパーマンの出自はウクライナ

 架空のスモールヴィルがあるとされるのは通常アイオワかカンザスだが、共産主義世界に生きるスーパーマンの分身は、ウクライナの集団農場の出身だ。これだけでも壮観なショーが期待できる。ソ連時代のウクライナの際立った訛りを模倣しなければならない声優のプレッシャーは大きい。

悪役は(ほとんど)すべてアメリカ人

 メインの悪役はアメリカ人の天才、レックス・ルーサー博士だ。彼は、スーパーマンが米国ではなくソ連に降り立ったというただそれだけの理由で、大統領を操って彼を倒そうとする。レックスは、スーパーマンが善行をして罪のない人々を救う衝動に抗えないことを知っており、米国に彼をおびき寄せるために自国民を危険に晒すことも厭わない。

スーパーマンは我々が知る通りの礼儀正しい紳士である

 新映画ではスーパーマンはマルクス主義・レーニン主義に洗脳された無骨な阿呆として描かれるだろうと考える人もいるだろうが、それは半分しか正しくない。共産主義の熱心な信奉者ということを除けば、彼は我々が愛する古き良き紳士である。

 公正を期して言えば、彼の住んでいる世界では、この国に対する彼の理解は至って正しい。ワンダーウーマン(彼女はこの物語にも登場する)がアメリカへの旅から帰ってきた時、彼女はスーパーマンに旅の感想を語る。「忌まわしい。実に忌まわしい。1987年だというのに子供たちが街中の至る所で寝ている。資本主義が国を引き裂いていることは明らかなのに、なぜケネディーは未だにこのドグマにしがみつくのか。」

非スターリン化は起きなかった。コミックスのスターリンは実物ほど恐ろしくない

 スターリンが物語の中で果たす役割は小さい。彼は色男で、ワンダーウーマンの母親に言い寄る。彼は鋼の男と呼ばれているが、誰が本物の鋼の男かは皆が知っている。したがって、スターリンがシチジン中毒で死亡した後、スーパーマンへの共産党の主導権の引継ぎは比較的スムーズに行われた。

 だがある時点で、スーパーマンは故人について率直な意見を述べる。「このユートピアが反対派の骨の上に築かれることはないだろう。それは同志スターリンのやり方だった。私のやり方ではない。」

スーパーマンが共産党を率いる

 彼は政権を引き継ぐことをためらっていた。生まれ持った身体能力のために主導権を引き継がなければならないということは、「自分が信じて育ってきたすべてのことに反する」からだ。骨の髄まで共産主義者なのである。だが、彼は皆の歓迎を受けながら結局ソ連の支配権を握る。

バットマンがスーパーマンと(なんと)シベリアで戦う

 なお素晴らしいことに、バットマンは耳当て付きの毛皮の帽子をかぶり、コサックの民族衣装を着ている。この奇抜なファッションが、おそらくワーナー・ブラザーズの新作に期待できる最大の理由だ。

スターリンの私生児がスーパーマンのバットマン問題を生み出す

 秘密警察として知られる内務人民委員部のトップであるピョートル・ロスロフ――スターリンの息子――は、バットマンが幼い時に彼の目の前で彼の両親を射殺した。この事件によって少年はバットマンになり、今や繁栄を極め平和を享受するソビエト体制に復讐を挑むことになる。どんな悪役にも、そこに至る理由があるのである。

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