ドラマ「チェルノブイリ」のキャストとそこに描き出された人々(写真特集)

セルゲイ・グニェエフ撮影/Sputnik; HBO
 HBO制作の連続ドラマを見たロシア人の多くは、演じている俳優が、1986年に実際に起こった悲劇の当事者にそっくりであることに驚いた。

 HBOの連続ドラマ「チェルノブイリ」は、ロシアと他の旧ソ連諸国で大きな注目を集めると同時にとても感情的な反響を呼び起こした。ドラマの各回を注意深く観た人々は、すぐさまSNSで、芸術性、真実とフィクションのバランス、ソ連社会の描写の正確さなどを論じ合った。

 しかし、すべての人が感心したのは、配役のすばらしさであった。(ネタばれ注意!)

1.ワレリー・レガソフ―ジャレッド・ハリス

 化学者であり、クルチャトフ原子力研究所第一副所長。事故の直後、被爆の処理をするためにチェルノブイリに送り込まれた。燃え盛る原子炉にホウ素と砂を混ぜて投入することを決定したのは彼である。事故の2年後に彼は命を落としたが、それまで知られなかった調査結果と処理状況の詳細についての音声記録を残した。

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2.リュドミラ・イグナチェンコ―ジェシー・バックレイ

 火災を鎮圧するために駆け付けた消防士の妻。彼女は妊娠していたにも関わらず、夫が移送されたモスクワの病院まで付き従い、彼の最期を傍らで看取った。彼女はこの被爆が危険であることを知らず、赤ん坊も生まれてすぐに失くすことになった。イグナチェンコは現在キエフに住んでいるが、のちに健康な子供を授かることができた。

 興味深いことに、女優ジェシー・バックレイは最近、BBCが「戦争と平和」をもとに作成したドラマでロシア貴族マリヤ・ボルコンスカヤを演じている。

3.ワシリー・イグナチェンコ―アダム・ナガイティス

 リュドミラの夫は426日に休暇を取っていた。家族で郊外にピクニックに出かける予定だったのである。しかし、あの運命の夜、彼はチェルノブイリでの火災を消すために呼び出され、帰らぬ人となった。リュドミラは彼の葬儀の間、彼の靴を抱えていた。なぜなら、膨れ上がった彼の足に靴を履かせることは出来なかったからである。

4.ボリス・シチェルビナ―ステラン・スカルスガルド

 チェルノブイリの惨劇が起こったとき、シチェルビナはソ連政府の副委員長であり、事故処理の指揮をするために現場に派遣された。彼はプリピャチ市から人民の避難や、消火活動から除染活動に至るまで多くの事を指揮した。

 第二次世界大戦中、シチェルビナは鉄道を使った兵站の管理責任者であったが、すぐに特進の辞令を受けとった。シベリアの共産党局長として、イルクーツクダムやブラーツクダムの建設、シベリア地方のすべての都市の建設やその他の多くの事業を任された。

 チェルノブイリ事故後は、1988年にアルメニアを襲った巨大地震の被災地救済活動を指揮したが、1990年に亡くなった。

5.アナトリー・ディアトロフ―ポール・リッター

 公式調査結果や裁判所の判決によると、チェルノブイリ原子力発電所の副技師長であったアナトリー・ディアトロフは、彼が指揮した安全上問題のあった試験運転によってこの悲劇的事故が引き起こされたとして、有罪判決を受けた人物の1人となっている。10年の実刑判決を受けたが、放射線症候群とアンドレイ・サハロフ博士を含む人権派からの多くの嘆願書により、早期に自由の身となった。1995年に亡くなった。

6.ヴィクトル・ブリュハーノフ―コン・オニール

 この事故を直接目撃した人々は、このドラマの中でブリュハーノフが最低な人間として一方的に悪く描かれていることを非難している。実際のブリュハーノフはこの事故の悲惨さを理解していなかった。ソ連の歴史で初めての原子力事故であり、誰もどう行動すれば良いのか知らなかった。そのため、ブリュハーノフは党の上司に事故の本当の状況を報告するのを明らかにためらった。そうすれば直ちに解雇されたからである。

 彼はディアトロフと供に10年の実刑判決を受けたが、現在も存命でキエフに住んでいる。

7.ニコライ・フォミン―エイドリアン・ローリンズ

 部下の1人によると、フォミン技師長は(ドラマの中で描かれているような)「盗人」などではなかったと言う。しかし、彼はディアトロフやブリュハーノフと同じく10年の実刑判決を受ける。捜査中、彼は拘置所に拘留されていたのだが、報道によれば、彼はここで自殺を図ったという。

 彼は今も生存しているが、公衆の面前には姿を現していない。次のような彼の言葉が広く報道によって伝えられている。「ただ一つのことで自責の念に駆られる。それは、発電所を稼働させるのには機械がもっとも重要だとかつて考えていたということだ。しかし人が一番大切なのだということが分かった。私は人の価値を過小評価していたのである」。

8.レオニード・トゥプトノフ―ロバート・エムス

この上級原子炉操作技師は最初の爆風が建屋を揺らしたとき、操作室にいた。彼はディアトロフがテストを進めるにあたって、原子炉はまだ準備が出来ていないということから反対しようとした者の1人であった。原子炉に再注水を始めるとき、彼は致死線量の放射線を浴び、事故の数週間後にモスクワの病院で亡くなった。

9.ミハイル・ゴルバチョフ―デヴィッド・デンシック

 この連続ドラマでのゴルバチョフの描かれ方は、ロシアのマスコミで最も批判されたものの1つである。非常に偏っていてグロテスクであるというのだ。コメンテーターの中には、ドラマの中ではあたかもスターリンのように描かれているが、どちらかというと彼はその対極であると指摘している者もいる。(ちなみに、チェルノブイリ事故はゴルバチョフが始めたグラスノスチやペレストロイカの前夜に起こった)。

 ゴルバチョフはソ連崩壊の理由の1つはこのチェルノブイリ事故であると最初に語った人物である。ゴルバチョフは、マスコミに対して、このドラマを見たら感想を述べると言っていたが、まだ今のところそれについては報道されていない。

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