鉄道駅「クールスキー」のそばに立つ建物にグラフィティを描くため、世界の有名なアーティストたちが招かれた。それぞれの作品には次のような意味がある。
ポクラス・ランパスは今回のアトリウム・プロジェクトの国際チームのメンバーのなかで、唯一のロシア人。キリル文字のカリグラフィーを専門とする。彼の作品は、アトリウムのメインエントランスの入り口とクールスキー駅から中心地へと繋ぐ地上通路を飾っている。
ポクラス・ランパス独特のスタイルで次のような言葉が書かれているが、理解するのはそれほど難しくない。ĤØᑭΣ/ НАDΣЖДÅ / Надежда(希望)、Ł0ƲΣ/ ЛЮচØƁb/ Любовь(愛)、ÇᖇΞА卞Σ/ СѺƷDÅƁΔŪ / Создавай(創造せよ)。
入り口に飾られているもう一つのカリグラフィー作品を作ったのが、アメリカのアーティスト、ファウスト。赤と白を使ったキリル文字で「約束を守れ」と書いてある。雑誌ニューヨークーが選ぶカリグラフィーアーティスト界のスターの一人であるファウストは、今回、初めて自分の作品にキリル文字を使った。
Obeyのニックネームで知られるアメリカのアーティスト、フェアリーのグラフィティ作品は世界中で知られている。オバマ前大統領の顔に「Hope?」と書かれた作品を覚えているだろうか?その作者が彼である。
「芸術は現実を映し出す鏡ではなく、それを形づくるハンマーだ」。フェアリーのロシアで初となる作品はロシア・アヴァンギャルドにインスピレーションを得て作られた。ちなみにこのフレーズはドイツの劇作家で詩人のベルトルト・ブレヒトの言葉である。
PichiAvoという名前は古代に興味を持つスペインの2人のアーティストの名前から成っている。2人は古代の彫刻のイメージをグラフィティに取り入れ、新たなフュージョンスタイルを生み出している。入り口の一部に、クラシカルなグラフィティの文字に囲まれた愛の神エロスとそのミューズが描かれている。
カラフルなアクセントを加えたモノクロピクセルのコンポジションはフェリペ・パントーネの代名詞とも言えるスタイル。作品の中で、彼はフェリペはアナログとデジタル、人間と機械の結合と対立について疑問を投げかけている。
このアーティストはグラフィティだけでなく、絵画や彫刻の作品も作り出しており、アメリカ、デンバーのカナビス教会やスペイン、オビエドのカオス教会のフレスコ画の製作も行なった。
モスクワの作品では得意のエスニックなモチーフを使い、絵画の技法としてはフィギュラティヴ・アートの伝統とキュービズムを融合させている。
ニューヨークのMoMAにも展示されているイートンの作品では、地上のあらゆる出来事に打ち克つことができる人間として宇宙飛行士が描かれている。グラフィティには「戦い続ける」という言葉が記されている。
さらにイートンはメインエントランスに隣接するショッピングセンターの塔にも作品を描いた。
プロジェクトの代表者によれば、イートンは三部作を制作する予定とのこと。3作目を期待したい。
Faith47もキリル文字を使用した。しかも使ったのは古い教会スラヴ語の聖書のフォントである。「君はとうに忘れ去っていたものを思い出させてくれた」という文章が少女の肖像画に添えられている。少女の周りに浮かぶ地球儀には今このアーティストがはまっている地図学が反映されている。
このアーティストはアメリカの同時多発テロ事件の犠牲者に捧げられた大規模なグラフィティ「Brave」の作者として知られる。本名は明かしていないWKインタラクトはモスクワの作品でも「戦争と平和」というテーマを取り上げ、平和とともに帰途につく兵士を描いている。
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