1.国民的狩猟の特色 (1995)
国民的伝統や風習を研究するためにロシアにやってきた外国人のライヴォは興味深いありとあらゆるものを目にするが、その一つにウォトカの箱を使った狩りに目を奪われる。ノンストップで続く酩酊状態によりコミカルな事態が次々と起こる。そしてトルストイの小説「戦争と平和」に出てくるような19世紀の高貴な狩猟を見たいと願うライヴォ以外の誰もがもはや狩りのことなど忘れてしまう。
ロシア人はこの映画に涙を流して笑う。滑稽なまでに肥大化した主人公たちの中に自分自身の姿を見るのである。もちろん、「弱い」外国人と対比させているところも笑えるポイントである。
2.What a Mess! (こいつは大変だ!) (1995)
俳優のワレリー・ガルカリンが幼年時代に離れ離れになった双子の兄弟の二役を演じている。双子の一人は立派な音楽家に、そしてもう一人は賭博師となっていた。そして二人はあちこちで間違えられ、賭博師が指揮をする羽目になり、指揮者の方は警察で他人と間違えられたと説明しなければならなくなる。
この映画をバカバカしいと言う人もいる一方で、大好きだと言う人もいる。笑劇、引用にちらばめられたおかしいフレーズ、天才的な演技。常に政治的妥当性があるとはいえないユーモアは少し大目に見ていただきたい。ちなみに、この映画を観れば、なぜロシア人がこれほどウォトカとキャベツを愛しているのかを知ることができるかも。
3.Dead Man's Bluff (死んだ男のからいばり) (2005)
激動の1990年代の地方都市。犯罪界の大物が麻薬を売買し、人々を怖がらせ、街中でみかじめ料を取っている。彼のために「汚れ」仕事をするのは頭の弱い2人の「仲間」。喧嘩、流血の騒動、銃撃戦は彼らにとっての日常だ。
映画では当時のあらゆるステレオタイプ―マフィアたちが好み、最高にオシャレだと思っていたショッキングピンクのジャケット、出始めの携帯電話、そして詐欺などあらゆるものを笑いの対象にしている。
4.ElectionDay (選挙の日) (2007)
ロシアの州選挙で、あるオリガルヒが自分が推すまったく無名の候補者を勝たせようとする。選挙で勝利するため、彼はもっともクリエイティヴな集団を選挙運動に送り込む。彼らは船に乗って移動し、さまざまな場所で停泊し、選挙運動を展開するが、あちこちで奇跡的なひらめきを発揮して、あらゆる困難に打ち克っていく。
ロシアで最も人気のある映画ポータルサイト「キノポイスク・ルー」で、ロシアのコメディリストのトップに掲載されている一作。
5.ロシアン・ゲーム (2007)
19世紀のロシア。イタリアのカード賭博師がバカなロシア人を騙して、大金を稼ごうと田舎町に乗り込んでくる。彼の計画は文句のつけようのないものに思え、すべては順調に進んだ。しかし実際にはロシア人はそれほどバカではなかったのである・・・。
ニコライ・ゴーゴリのあまり知られていない小説「賭博師」を映画化したもので、セルゲイ・ガルマシ、セルゲイ・マコヴェツキー、アンドレイ・メルズリキンなどロシアを代表する俳優が出演している。賭博師役を演じているのは、ロシア化したイタリア人、ジュゼッペ・デカプア。
6.The Best Movie (2008)
ワージクは自身の結婚式でマリファナを吸い、最後の審判の場にワープする。そこで神とともに彼を地獄に送るか、天国に送るか相談する。そして、ドラッグやちょっとした不良行為、偶然知り合った裕福な家の女の子との付き合いなど、自分の取るに足らない一生を思い返す。
映画はロシアで最悪の映画だと言われる。しかし実際には「最終絶叫計画」スタイルで作られたユーモアが好きな人々は気に入ること間違いない。
7.High Security Vacation (ハイ・セキュリティー・ヴァケーション) (2009)
2人の囚人(そのうちのひとりは元警官)が影響力のある人物の力を借りて刑務所から脱走する。その男には共通の金が必要なのだった。彼らが捕まらないようにするため、囚人たちは子供向けキャンプの指導者になりすます。キャンプの責任者は厳格な女性で、その規律正しさは刑務所よりも厳しいものだった・・・。
誰もの心のうちにある子供の気持ちを描いたとても優しい作品。
8.What Men Talk About (男たちの話) (2010)
妻や恋人の元から逃げ出した4人の男友達が自動車に乗ってモスクワからオデッサへと向かう。その道中4人は、人間関係について、女性について、子供時代に恐れたものについてなど、「男の」テーマでさまざまな話をする。
ストーリーはほとんどなく、映画には誰もに身の覚えがあるような人生の出来事が正確に語られていて、それが非常に面白い。作品は「Election Day」と同じチームで制作された。
9.Yolki (もみの木) (2010)
ハリウッドの作品でも有名なチムール・ベクマンベトフの映画は、新年の前の夜に6回握手をして信じられないような夢が叶えられるというモチーフの複数の作品から成っている。
伝説的なソ連の新年映画「運命の皮肉」に次ぐもっとも新年らしいロシア映画で、ロシア風の「真実の愛」を描いた作品。2010年から毎年、新年を前に「もみの木」の続編が発表されている。というわけで、ウィークエンドを使って、新年に起こる奇跡にあふれた映画鑑賞をしてみるのもいいのでは?
10.職場恋愛、現代版 (2011)
目立たないファイナンシャル・アナリストに友人たちが、女性上司である冷たいビジネスウーマンにアタックするよう勧める。彼のあらゆる試みは無益で面白おかしいものだったが、次第に、近寄りがたい女性の新たな一面が見えてくる。
作品はソ連映画のリメイクの中でももっとも評価されているものの一つ(もしエリダール・リャザーノフ監督のオリジナルを観ていない人はまずこちらを観ることをお勧めする)。
11.Love with an Accent (訛りのある恋) (2012)
この映画の訛りはグルジア訛りである。ストーリーは、迫力あるグルジアの山々、ご馳走、海、トビリシの美しい街並み、地元の特色などをバックに描かれる。ここでは愛は必ず勝つ。
映画はグルジア出身のロシア人映画監督レゾ・ギギネイシヴィリが語る5つのストーリーから成っている。
12.Gorko! (苦いぞ!) (2013)
若いカップルが伝統的な儀式や喧騒を取り除いた「イマドキの」結婚式を挙げようとするのだが、両親たちにとって祝宴とはもっと違うイメージのものであった。ある時まですべて順調に進んでいたのだが、カオスとファンタスマゴリーが始まる。
映画は田舎のロシアの結婚式に関するステレオタイプがすべて集められ、それをバカバカしいまでに描いている。取っ組み合いにスキャンダル、そして全員で思い切り酒を飲み、モスクワから司会のために呼んだ有名な俳優までもが酔いつぶれてしまう。
13.パリのキッチン (2014)
才能があるものの衝動的な人物である高級レストランのシェフは、いつも弟子たちを怖がらせている。しかも彼は酒を飲むのが大好きである。弟子たちはいつもヘマをしては、どうしようもない状況に陥り、シェフの神経を逆なでしている。しかしこのレストランでロシアとフランスの首脳が会談を行うことになり、そこでレストランが恥をかかないようスタッフ全員が一致団結することになる・・・。
作品はロシアで人気のあったモスクワを舞台にしたコメディドラマ「キッチン」の映画版。
14.昔あるところに (2018)
純粋で心優しい人たちが住む小さな村を舞台にした映画。そう若くない2人の男性が一人の女性を巡って争っている。そして愚かな状況に陥る。ちなみに同じく男女の三角関係を描いた同じようなタイプの素晴らしいソ連映画「愛と鳩」もオススメ。
15.I am loosing weight (わたし痩せます) (2018)
パティシエのアーニャは自分で作ったケーキやお菓子を食べることをどうしてもやめることができない。それにより困ったことが2つ。一つは体型が崩れていくこと、そしてもう一つはボーイフレンドのジェーニャが太った彼女を連れて歩くのが恥ずかしい思いをすると言うことだ。そして結局、2人は別れることになってしまう。しかしアーニャは自分を変えようと決意し、彼女の人生を完全に変えるのを手伝ってくれる友人を見つける。
善良で、モチベーションをアップしてくれるコメディ映画。それでいてボディポジティヴの支持者たちを傷つけることもない。ちなみに女優のサーシャ・ボルティチは、映画のためにわざと20キロ太って、撮影に臨み、映画の主人公と同じ体験をした。