ハリウッド大ヒット作品のロシア人「善玉」10選

カルチャー
ボリス・エゴロフ
 ハリウッドでは、ロシア人は典型的な悪役として描かれる傾向がある。しかし、特筆すべき象徴的なロシア人の「善玉」の例も存在する。選りすぐりの「善玉」たちをご紹介しよう。

1. 『プレデターズ』(2010年)のニコライ

このM134ガトリングガン(「ミニガン」)で武装した残忍なロシア人コマンド隊員は、チェチェンの戦場で拉致され、プレデターたちの獲物として異星に連れ去られる。殺人マシーンとして訓練されたニコライだが、ここで彼の士気が発揮され、最後は仲間を救うために自分の命を犠牲にする。

2. 『0011ナポレオン・ソロ』『コードネームU.N.C.L.E.』のイリヤ・クリヤキン

KGBのエージェント、イリヤ・クリヤキンは、1960年代のテレビドラマ『0011ナポレオン・ソロ』(原題:『The Man from U.N.C.L.E.』)に初め脇役として登場した。しかし視聴者から愛されたため、脚本家は彼を主役級に格上げした。クリヤキンは、アメリカのエージェント、ナポレオン・ソロとともに、世界のさまざまな悪と戦う。2015年には同名(邦題:『コードネームU.N.C.L.E.』)の映画が公開され、大ヒットを記録した。

3. 『アベンジャーズ』のナターシャ・ロマノフ

武術の達人でスパイ活動にも長けたナターシャ・ロマノフは、アベンジャーズの主要キャラクターの一人だ。ブラック・ウィドウの名で知られるナターシャは、マーベル・ユニバースに欠かせない人物となっている。

4. 『ハドソン川のモスコー』(1984年)のウラジーミル・イワノフ

サックス奏者のウラジーミル・イワノフは、一座のアメリカ公演中にチャンスを得て、亡命を決行する。大西洋の対岸の国は彼が思っていたほど偉大なものではなかったが、検閲と全体主義が支配する祖国に帰る選択肢はなかった。

5. 『レッドブル』(1988年)のイワン・ダンコ

アーノルド・シュワルツェネッガー演じる警官イワン・ダンコは、ハリウッドで最も認知されたロシア人キャラクターの一人だ。ダンコはロシアのステレオタイプを体現している。彼は無感情の筋肉の塊で、たどたどしい話し方をする。とはいえ、彼は誠実で、忠実で、勇敢で、悪人をどう捌くべきかを心得ている。

6. 『スタートレック』のパヴェル・チェコフ

『スタートレック』の生みの親であるジーン・ロッデンベリーによれば、パヴェル・チェコフがシリーズに投入されたのは、ソビエトの新聞「プラウダ」の記事のおかげだ。その記事は、宇宙探査ではソ連がリードしているにもかかわらずエンタープライズの乗組員にロシア人がいないことを批判するものだった。こうしてチェコフが生まれたのである。

7. 『ソルト』(2010年)のナターシャ・チェンコワ

アンジェリーナ・ジョリー演じるCIAのエージェント、イヴリン・ソルトは、実はナターシャ・チェンコワというロシアのスパイだった。長年アメリカで暮らしたことで、彼女はこの国に深い愛を持つようになり、ついには密かにスパイ活動をしているKGBの元同僚たちとの戦いを始める。

8. 『レッド・スコルピオン』(1989年)のニコライ・ラチェンコ

イヴリン・ソルトと同様に、ニコライ・ラチェンコは自分にとっての「悪玉」を裏切ったために「善玉」となった。あるアフリカの国へソビエトが介入したさい、ラチェンコは無慈悲な兵士だったが、現地住民に対するソビエト兵の残虐な行為を目撃し、陣営を乗り変えることを決意する。

9. 『スターリングラード』(2001年)のヴァシリ・ザイツェフ

スターリングラードの戦いでドイツ兵を次から次に仕留める卓越したスナイパーとして描かれるヴァシリ・ザイツェフは、作中の他のロシア人とは著しく異なっている。性の悪いソビエト将校らは、丸腰の兵士をドイツ軍からの銃弾の雨に放り込んでおいて、自分たちは安全なところで縮こまっている。ヴァシリは勇敢で、常に進んで仲間たちを助ける。ただし祖国ロシアの敵に対しては、彼は一切容赦しない。

10. 『アルマゲドン』(1998年)のレフ・アンドロポフ

ロシア人宇宙飛行士レフ・アンドロポフは、ロシア人に対するあらゆるステレオタイプを負わされている。彼は常に酔っ払っていて、宇宙でもロシアの伝統的なウシャンカをかぶり、鉄棒で叩いてぼろぼろの宇宙船を修復する。[ネタバレ注意]しかしレフは宇宙船の乗組員を救い、ついには地球を救う。