「現代生活の大半は仮想現実で起こります。携帯電話の画面の裏に巨大な世界が広がっているのです」と話すのは、動画の制作者の一人、カレン・シャイニャン氏。ミハイル・ズィガル氏など他の有名なロシア人記者たちや、著名な映画制作者ティムール・ベクマンベトフ氏とともに、彼らは実在の歴史的人物の生活を、彼らの架空のスマートフォンの画面を通して見せるというこの話術を用いることに決めた。
これは、インスタントメッセンジャー、SNS、ユーチューブ動画、グーグルマップが1968年に存在したという代替現実だ。ドキュメンタリー・メディアが技術の虚構と混ざり合い、正確な事実に基づく独特のモキュメンタリーを作り出している。画面が縦長であるため、明らかにスマートフォンでの視聴に向いている。
この1968.Digitalという作品は5月のカンヌ映画祭で披露された。プロジェクトの目的は、1968年以来、文化や社会がどのように変化し、人権を求める闘争や平和運動がどのように主流となっていったか、またその他どれほど多くの世界的な重大事件が起きたかを示すことだ。
「1968年は20世紀で最も重要な年で、世界を現在私たちが知っているようなものへと変えた年でした」とショーの発案者であるミハイル・ズィガル氏は言う。「1968年、インターネットが発明され、性革命、音楽・ファッション革命がついに実現しました。反体制運動が生まれ、人権活動家のアンドレイ・サハロフ、アレクサンドル・ソルジェニーツィンに対するハラスメントが始まりました。プラハの春ののち、ソ連がそれまで国際舞台で有していた権威が失われました。」
第1エピソードでは、米国の人気歌手アーサ・キットが大胆にも合衆国大統領夫妻を批判し、その後ハラスメントを受けて米国を去る。第2エピソードではソ連と米国の宇宙での衝突が悲劇に変わる。第3エピソードは米国の公民権活動家、マーティン・ルーサー・キングの暗殺をテーマにしている。
ズィガル氏によれば、最も重要なのは現代の若者とそう変わらない当時の若者たちの物語だという。
「この新しい映画言語を利用して、私たちは半世紀前に生きたキャラクターたちと観客との距離を縮めようとしました。今日の年配の世代は、若者が携帯電話に没頭して自己教育に取り組んでいないと不平を言います。私たちはそれを逆手に取ることにしたのです」とズィガル氏は話す。
「数言語で視聴できる真に国際的なプロジェクトを目指しました。1968年にさまざまな国で生きた人々が、同じ困難に直面し、同じ過ちを犯し、時には逆に素晴らしい偉業を成し遂げたということを示すためです」とシャイニャン氏は語る。
2018年の間はずっと、48分のエピソードが英語とフランス語、ロシア語で見られる。ウェブや、Apple News、BuzzFeedで公開される予定だ。ロシアではNetflixに似たロシアのサービス、Amediatekaでも視聴可能。
各エピソードは今日まで世界中の人々の人生や価値観に影響を与えた1968年の重要人物や重大事件を取り上げている。また、ソ連、米国、欧州、アジア、中南米の出来事を対照している。
登場人物には、ジョン・レノンやモハメド・アリ、ジェニス・ジョプリン、ウィリアム・バロウズ、ハンター・トンプソン、イヴ・サンローランなどの著名な人物も含まれる。
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