ロシアの画家イーゴリ・オレイニコフが国際アンデルセン賞:作品賞は角野栄子

 ロシアの画家イーゴリ・オレイニコフが、児童文学のノーベル賞と言われる国際アンデルセン賞を受賞した。子供も大人も楽しめる彼の驚嘆すべき作品を紹介しよう。

 3月26日、ロシアのアーティスト、イーゴリ・オレイニコフが、2018年度の国際アンデルセン賞の画家賞を受賞した。これは、児童文学のノーベル賞と言われる。もう一つの部門、作品賞は日本の作家、角野栄子が獲得。角野は『魔女の宅急便』で知られる。

 「この極めてユニークなイラストレーターは、作品の頁を生き生きとさせる。しかも一風変わったキャラクターにさえ、生命を吹き込むことができる…。オレイニコフは、その作品に偉大なロシア芸術のヴォキャブラリー、スタイルと情熱をもたらす」。審査員団は、オレイニコフの作品についてこう述べている。

アレクセイ・トルストイ、「アエリータ」

 オレイニコフは1953年に、モスクワ南東部に隣接するリューベルツイ市で生まれた。彼の作品を目にした人は一様に驚くが、彼は美術大学の出身ではない。モスクワ国立化学機械製作大学を卒業したものの、結局、カーペットのデザインを手がけていた母親のように、芸術を追求することに決めた。

アレクセイ・トルストイ、「アエリータ」

 「子供は誰でも絵を描くが、ある時点で彼らの大半が関心を失ってしまう。でも母は、私の興味を刺激し続け、それが決して失われないように助けてくれた」。イーゴリは2013年にこう語っている。

エフゲーニー・シュワルツ、「ドン・キホーテ」

 「母はアーティストで、芸術なら何でも関心をもつようにした。私が何かを描いていると助言してくれて、そうやって私の興味を育んだ」

エフゲーニー・シュワルツ、「ドン・キホーテ」

 彼の本格的なキャリアは、ソ連のアニメーション・スタジオ「ソユーズムリトフィルム」で始まった。モスクワに本拠を置くこのスタジオで、彼はアニメーターとして、「第三惑星の秘密」 、「犬が住んでいました」、「アリの冒険」 などの有名な短編映画を手がけた。

ジュール・シュペルヴィエル、「まぶねの牡牛とロバ」

 「私は子供の頃から絵を描いてきた。7年生のときにはもうソユーズムリトフィルムで働くことを夢見ていた」と彼は振り返る。「父は『いいだろう、お前の絵をぜんぶ集めて、ソユーズムリトフィルムに行ってごらん』と言ってくれた。それで私はここに就職したわけだ」

 1990年代には、別のアニメーション・スタジオ、「クリスマス・フィルム」で働き始め、そこで「魔笛」、「ポドナとポドニ」などの映画製作にたずさわった。

 オレイニコフは、アニメーションの仕事のかたわら、児童雑誌や絵本の挿絵を描いてきた。30年以上にわたり、彼は80冊を超える図書(子供と大人の両方)のイラストを手がけてきた。そのなかには、ケイト・ディカミロの「ねずみの騎士デスペローの物語」のロシア語版、「キツネとウサギ」、ニコライ・ゴーゴリの「鼻」、ヨシフ・ブロツキーの「小さなタグボートのバラード」などが含まれる。

イーゴリの素晴らしい世界の秘密は何だろうか?

ピョートル・エルショーフ、「せむしの仔馬」

 「私はいつも子供たちにこう思わせたかった…。イラストや物語のすべてが現実に起きているんだと。子供たちがおとぎ話を信じられるように」。彼はこう言う。「私はよりリアリスティックに描くようになった。(読者に)もっと身近になるようにだ」

ソフィア・プロコフィエワ、「嫁の二人とほれ薬」

 「私は読者のためではなく、自分のために描いている」と彼は説明した

エドワード・リア、「あり得ないことについて」

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