スラヴのジャスティス・リーグ:古代の物語、叙事詩のスーパーヒーローたち

「3人の勇士」、ヴィクトル・ヴァスネツォフ画

「3人の勇士」、ヴィクトル・ヴァスネツォフ画

 ボガトゥイリとして知られる武人、強壮な男たちは、古代スラヴの物語、叙事詩のスーパーヒーローたちである。ボガトゥイリは、今日のDCコミックやマーヴェルの登場人物たちと比肩しうる存在である。ロシア・ビヨンドは最も印象的で力強いボガトゥイリたちを紹介する。

スヴャトゴル

 スヴャトゴルは、キリスト教以前の時代に起源をもつ、スラヴ叙事詩のもっとも古いボガトゥイリの一人である。

 彼が歩くと大地が震え、森が揺れ、川が岸からあふれ出す。

 スラヴの巨人、スヴャトゴルは異様に体が大きく、長さ26メートル、幅15メートルのベッドに寝ていた。彼は結婚していたが、妻は巨人ではなく、ふつうの女性だった。彼は自分の美しい妻を肩に載せたガラスの小箱に入れて持ち運んでいた。

 スヴャトポルクはしばしば、自らの並はずれた力を自慢し、天空を大地まで曲げて見せると豪語していたものだった。あるとき、彼は「全世界の矛先」という名で知られる袋を持ちあげようとするが、うまくいかずに、身体が膝の深さまで地面にめり込んで死んでしまった。

 古代の原初的な力のシンボルとして、スヴャトポルクは最終的には忘却の彼方に追いやられてしまった。

 

ヴォルガ・スヴャトスラヴィチ

 蛇とロシアの公女の息子、ヴォルガ・スヴャトスラヴィチは謎めいた形象である。ヴォルガは動物や鳥や魚と話すことができ、ヴォルガ自身は人狼で魔術師だった。

 叙事詩は、彼のインドへの軍事遠征について語っている。ヴォルガは味方の軍勢に食料を提供するために鷹に変身する。彼はオコジョとなって敵の弓を折りひしぎ、狼となって敵の馬の首を噛む。

 難攻不落の城砦を攻撃するときには、兵士たちをアリに変えて城壁の向こうに忍び込ませ、そこで元の姿に戻すのである。最終的に、ヴォルガは殺した敵の王の妻と結婚した。

 

イリヤ・ムーロメッツ

 おそらくすべてのスラヴのボガトゥイリのなかでもっとも重要な存在であるイリヤ・ムーロメツは、武人の理想であり、民衆にとっての英雄である。

 イリヤは、その生涯の最初の33年は、足と腕を動かすことができなかったのだが、ヴォルフと呼ばれるスラヴの異教司祭によって病を治され、キエフ公ウラジーミルに仕えるように送られる。

 ロシアの国々の守り手として、彼は多くの偉業を成し遂げ、多くの強敵を倒す。

 彼、鳴き声で人々を殺し、建物を打ち壊す、盗賊ソロヴェイ(夜泣き鶯の大泥棒の首をはねる。

 イリヤ・ムーロメツに殺されたもう一人の敵は、イドリシチェという巨大な体をもつ怪物である。イドリシチェは、キリスト教には属さない暗い異教の霊威で、キエフ・ルーシを脅かしていた。

 イリヤ・、ムーロメツはまた、キエフを占領しようとしたタタールの王、カリーナ帝とその軍隊をも徹底的に打破った。進退窮まったカリーナは逃亡し、二度とロシアの国に戻ってこないと約束した。カリーナ帝という登場人物のなかに、クリコヴォの戦いでロシア人に打破られたモンゴルの軍司令官ママイを見る読者もいる。クリコヴォでの戦いの勝利は、ロシアの諸邦をモンゴルの権力から解放する過程のなかで起こったものである。

 

ドブルイニャ・ニキチッチ

 スラヴの物語のなかで、イリヤ・ムーロメツに次いで2番目に人気のあるボガトゥイリは、ドブルイニャ・ニキチッチである。ドブルイニャ・ニキチッチは勇敢な武人であるばかりではなく、有能な外交官でもあった。彼は12の言語を操り、鳥に話しかけることさえできた。

 彼の振る舞いのなかで最も印象的なのは、キエフを恐怖のどん底に陥れ、若い公女を誘拐した、三つの頭をもった竜、ズメイ・ゴルィヌィチ(山蛇)に勝った事績である。聖ゲオルギオスの竜退治の神話の痕跡を、このスラヴの叙事詩物語のなかに見出すのは容易であろう。

 

エフパートィ・コロヴラト

 エフパートゥイ・コロヴァトの伝説は、ロシア諸公国がモンゴルの侵寇を受けた時代にさかのぼる。リャザンが、ロシアとモンゴルの衝突の前哨地であった。リャザンは、1237年にモンゴルによって破壊された。

 悲劇が起こったとき、土地の貴顕(貴族)、エフパートゥイ・コロヴァトは町の外にいたが、生まれ故郷の町が灰燼に帰したのを見ると、自分の軍勢の小部隊と集められる限りの生き残りの兵たちを糾合し、侵略者たちを追いかけた。総勢、1700人であったという。

 コロヴァトは、モンゴル勢の後衛をうち破った。多数の敵勢にたいしてわずかの味方の兵で、コロヴァト配下の武人たちは多くのモンゴル勢たちを殺戮し、敵の軍勢に深刻な損害を与えた。彼を殺すためにモンゴル兵の精鋭が送られ、彼は戦陣に倒れた。

 伝説によれば、モンゴルの軍司令官バトゥ・ハーンは、エフパートゥイ・コロヴァトの勇気に深く心を打たれ、コロヴァトの遺骸を生き残ったロシア兵に引き渡すことを命じ、彼らが無事に町に引き上げることができるように配慮した。

  さて、スラヴの伝説の登場人物は、ボガトゥイリばかりではない。ここで、読者は異教時代の神々に出会うことができるだろう。

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