「ボリショイ・バレエアカデミー」の通称で知られるモスクワ国立舞踊アカデミーは、周知の通り、ロシアで最も権威あるバレエ学校の一つ。そして、ロシア・バレエといえば、世界のバレエの最高峰であることは言を俟たず。
このバレエ学校は、1773年にエカテリーナ2世により、モスクワ孤児養育院の一部として設立された。ここで孤児たちは、国家に奉仕し、臣民の義務を果たせるようにと、幅広くさまざまな科目を教えられたが、そのなかには舞踏会への参加も入っていた。そして、ヨーロッパから最高の教師たちが招かれて、孤児たちにダンスを教えた。
最初の卒業生たちは極めて優秀だったので、ボリショイ劇場のダンサーとして招かれた(ボリショイ劇場は当時、ペトロフスキー劇場と呼ばれていた)。1784年には、同劇場は、バレエ学校を管理・監督下に置き始めたので、アカデミーの学生たちには、劇場の舞台で踊ったり海外公演に参加したりする可能性が生まれたわけだ。
応募するには?
どの外国人学生も、1年間いつでも応募することができる。応募するには、クラスワークのビデオを送らなければならない(バー、センターワーク、アダージョ、アレグロ、ポイントワーク、レパートリーが含まれていることを確認されたい)。また、ビデオのほかに、申請書に必要事項を記入し、パスポートのコピーと写真を添付すること。詳細についてはこちらをご覧いただきたい。
勉強の期間は?
アカデミーに受け入れられた場合、ほとんどの留学生は、1ヶ月から10ヶ月間の研修プログラム(留学生クラス)で学ぶように勧められる。このクラスを終えた後に、試験に合格すれば、フルタイムの正規の教育プログラムで勉強を続けるよう提案される。ただし、この正規プログラムは、ロシア語を話せる学生だけが履修できる。期間は3年以上で、上記の訓練プログラムを修了した後でのみ受けられる。すでに他のバレエ学校のディプロマ(卒業証書)を持っている留学生のための高等教育プログラムもある。
ロシア語を知っていなければならない?
すべてのクラスは、ロシア語で行われる。ロシア語は、留学生クラスの必修科目となっている。
学費は?
留学生クラスの学費は2000ユーロ(約26万円)で、フルタイムの正規プログラムは年間19000ユーロ(約250万円)。
ビザは?
ビザについては、心配せずにただ必要書類を準備してほしい。アカデミーがあなたに送る公式の招待状で、シングルエントリービザを取得できる。ロシアに着いたら、アカデミーに報告すること。同校職員が国の機関に支払う手数料(1600ルーブル≒3000円)のフォームをくれる。それをあなたが任意の銀行で支払うと、アカデミーがマルチビザの申請書類を関係機関に提出する。あとはビザが出るのを待つだけ。
住まいは?
フルタイムの正規の学生には、履修の全期間にわたり宿泊施設が用意されている。寮は、テレビ、Wi-Fi、冷蔵庫、ピアノ(!)、調理とランドリーの設備を備えており、モスクワ市第2フルンゼンスカヤ通りにあるアカデミーのビルにある。緊急時の医療も提供されるが、交通費は学生自身が支弁しなければならない。ちなみに、両親や親戚はダンサーの卵たちを訪れ、教師と話すこともできる。
現在、外国人学生はたくさんいる?
アカデミーの2017~2018年度は、インターンシップと留学生クラスに約110人の留学生が在籍し、高等教育プログラムには約15人の学生が学んでいる。国際プログラムの責任者であるスヴェトラーナ・セメニキナさんがロシア・ビヨンドに語ったところによると、20カ国以上の留学生が学んでいるとのこと。インターンの平均年齢は13~18歳だ。もっと若い人もいるが、むしろ例外で、両親と一緒にモスクワに住んでいる。
ロシアの劇場で踊っている外国人の卒業生は?
ブラジル出身のダヴィッド・モッタ・ソアレスは、2015年にアカデミーを卒業し、現在は、ボリショイ劇場バレエ団の一員だ。ジュリアン・マッケイは、ボリショイ・アカデミーで中等教育と高等教育の両方を受けた最初のアメリカ人で、サンクトペテルブルクのミハイロフスキー劇場に所属している。
ほかに外国人が入れるロシアのバレエ学校はある?
- ワガノワ・バレエ・アカデミー
- ルドルフ・ヌレエフ記念ロシア国立ウファバレエ学校
- ペルミ・バレエ学校
岩田真奈さんが語るバシキール・バレエ学校での生活
バシコルトスタン共和国の首都ウファにあるルドルフ・ヌレエフ記念ロシア国立ウファ・バレエ学校では、日本人の岩田真奈さんが学んでいる。岩田さんがロシア・ビヨンドに、入学の方法や学校生活について詳しく話してくれた。
入学について
私はドイツミュンヘンにあるバレエ学校に留学している時にワガノワメソッドを学び非常に興味を持ちました。
それがきっかけで、是非本場ロシアでもっとワガノワメソッドを学びたいと思うようになりました。そんなときインターネットで、ルドルフ・ヌレエフ記念ロシア国立ウファ・バレエ学校のビデオオーディションが行われていることを知り、早速バーとセンターそして、ヴァリエーションのビデオ、基本的なポーズを撮った写真、バレエ履修履歴書などを送ってみました。応募すると間もなくワガノワ出身で日本で長年にわたりバレエ教師をされているアルマズベク・シャミライレフ先生より連絡を頂き、その結果、晴れてウファ・バレエ学校の校長先生より合格通知を頂き、入学するに至りました。
ロシア語について
ロシア語はとても難しい言語ですが、ウファ・バレエ学校に入学すると、先生方が根気よく毎日ロシア語を教えてくださったおかげで、10ヶ月たった今では、話している内容はほとんど理解できるようになり、また簡単な会話なら自分からも話せるようになりました。バレエのレッスンでは同じ言葉を繰り返し聞いているので、授業内容はほぼすべて理解できます。
将来について
留学期間は4年間ですが、あと3年間しっかりと学んで、卒業したらロシアの大きなバレエ団のプロのダンサーとして踊りたいと考えています!
ロシアには日本とは異なり、バレエ専門学校があり、10才位になると年齢にあったレベルで学ぶことができ、体の成長に合わせて段階的に上達していくことができます。私はこのような素晴らしい環境のバレエ学校で学べることに感謝しています。
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