日本からも50人強が露語書き取り

 神戸の「総書き取り」の参加者=

神戸の「総書き取り」の参加者=

ナタリア・ススリナ撮影
 ロシア語の識字力検査運動「総書き取り」が今年、日本の2都市、東京と神戸でも初めて行われた。小中高校の一般的な課題の一つである書き取りには、日本から50人強の挑戦者が集結。ロシアおよび世界68ヶ国からも15万人以上が運動に加わった。多くの参加者は、学校を卒業してから数年、数十年ぶりに、教室の机に向かい、朗読に合わせて文を手で書いた。

大人のための課題

  神戸市に位置する、とある旧校舎には、ロシアの児童や日本とロシアの国際結婚組の子どもが時々、親に連れられて、ロシア語の授業を受けにくる。

 

 運動の開催日の4月16日土曜日もここに集まったが、子どもだけでなく、大人もロシア語の知識を確かめた。大人の多くは、「総書き取り」が始まる前、このような児童向けの課題である書き取りなんて簡単にこなせるだろうと考え、余裕に構えていた。ところが、朗読が始まると、子どもたちが学校で習っていることは、実は意外に難しいのだということに気づき、余裕が消えた。「総書き取り」が終わった後、答えの文章がプロジェクタでスクリーンに表示された。多くの大人が、ミスのない文章の書き方を忘れてしまったことを痛感した。

  神戸の運動のコーディネータである柿沼エレーナさんによると、「総書き取り」によって、ロシア語のレベルを維持する大切さを改めて感じることができるのだという。

  神戸の運動の参加者の一人、大元賢二さんは、かなり難しい文章だったことを認めた。「個別の単語も全体の意味も理解できたが、どう書くかが出てこなかった」。大元さんは結局、書き取り用紙を提出しなかった。

  とはいえ、外国語としてロシア語を学ぶ人のために、「総書き取り」専門家審議会は、特別な試験「トルゥド(TruD)」も作成している。こちらには、ロシア語の課題、「総書き取り」から抜粋された部分の短い朗読に沿った書き取りが含まれる。

 

盛り上げて大きな運動に

 書き取りは、ロシアの学校では標準的な識字力検査である。先生が文章の各文を2回ずつ読みあげ、生徒が正字法および句読法の規則を思い出しながら、紙にそれを手書きする。このような形式の識字力検査は学校でしか行われないため、卒業するとそれまでだ。

 「総書き取り」のアイデアは2004年、ノボシビルスク国立大学人文学部の学生クラブ内で生まれた。運動の目的は、ロシア語の知識を確認する機会を一人一人に与えること。

 今年の参加者は約15万人で、ロシアおよび世界68ヶ国の732都市2185

会場で腕試しをした。アメリカでは16都市、スペインでは13都市、中国では9都市で、それぞれ開催された。今年は日本以外に、南アフリカ、タイ、ブラジルで初開催された。

 今年の課題は、児童文学作家で詩人のアンドレイ・ウサチェフが書いた、古代ギリシャの演劇の誕生に関する「この古代の・古代の・古代の世界」。文章はインターネット上で閲覧可能。

 識字力の問題への関心を可能な限り高めようと、主催者は運動をありえない場所でも実施している。今年は、カレリア共和国の湖氷の下で、ノボシビルスク-モスクワ便の飛行機の中で、また原子力砕氷船の船内で行われた。昨年は、宇宙でも実施されている。視覚障がい者も参加可能となっている。点字と特別な文具である厚手の紙とペン針が使われる。

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