刊行:2014年12月
山口ミルコ 著
小学館
前作『毛のない生活』で癌との闘病生活を綴った著者が、二年後、復活と再生の旅先に選んだのはシベリア、かつての毛皮狩猟文化の中心地ウデヘである。癌治療で失った髪、その経験は著者の驚くべき想像力を介して、シベリアの毛皮=クロテンと出会う旅へと彼女を導く。この小さな本には、一人の女性の身体の出来事だけでなく、人間の経済活動とクロテンの毛皮をめぐる長い歴史、地球という大きな身体とその毛=森林への思いが凝縮されている。日々飽くことなく消費を続ける人類は、あらゆる命を見つめるべき時を迎えているのではないか。次の世代の為に病んだ地球を再生させる時ではないかと問いかけてくる。虫もテンも人間も地球もすべての命が等身大なのだと知らされる一冊。
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