ポドカメンナヤ・ツングースカ川、1931年。
史上最大の水爆に匹敵
1908年6月30日、現地時間で7時14分に、中央シベリア(現クラスノヤルスク地方)の上空で大爆発が起こった。半径約30キロメートルにわたり森林が炎上し、2000平方キロメートル以上の範囲で樹木がなぎ倒され、半径200キロメートルの範囲で家屋の窓ガラスも割れた、という途方もない規模だったが、原因はいまだに不明だ。
爆発の威力は40~50メガトンという推定もある。これは、史上最大の水素爆弾「ツァーリ・ボンバ(爆弾の王様)」に匹敵し、広島型原爆の約3000倍に達することになる。
原因については、彗星説、マイクロ・ブラックホール説、はては異星人の宇宙船説という珍説まである。なぜ、宇宙船かというと、700人以上が、落下物が途中で進路を変えたと証言しているからだ。
あのコロリョフが宇宙人説を
2010年末に、テレビ局「VIASAT HISTORY」で、「ツングースカ大爆発」の特集番組が放映された。それによると、ソ連の学者も、大真面目で宇宙人の可能性を考えていたという。
あのロケット開発指導者セルゲイ・コロリョフ(1907~1966)も、その線での調査を援助し、著名な宇宙飛行士ゲオルギー・グレチコ(1931~)が調査に参加していた、とグレチコ氏自身が番組に出演して証言した。
彼によると、調査の結果、宇宙人説は退けられたそうだが、「宇宙人じゃなくてよかった。死んだらかわいそうだからね」と笑っていた。
珍説「善玉の宇宙人による撃墜」も
現在も、爆発現場は名所になっており、調査、隕石収集におもむく人が絶えない。
上の特集番組によると、クラスノヤルスクの在野の研究家が、隕石の破片をたくさんみつけたと主張し、隕石撃墜説を唱えている。
彼曰く、地面に衝突した跡がないのは、隕石が地球にぶつかる一歩手前で、何者かが、つまり善玉の宇宙人か神かが、別の飛行物体をぶつけて打ち落とし、地球を救ったからだ。
まあ、いまだに夢とロマンをかきたてる事件ではあり、あのコロリョフも例外ではなかったというお話だ。
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