プーシキンが『漁師と魚の物語』を出版

イワン・ビリービン 「漁師と魚の話」

イワン・ビリービン 「漁師と魚の話」

1835年の今日、5月14日に、詩人アレクサンドル・プーシキンが『漁師と魚の物語』を出版した。ロシア人なら知らない者はいないこのおとぎ話は、グリム兄弟の『漁師と女房』を下敷きにしていると考えられている。

じいさんとばあさんが住んでいた。
真っ青な海のほとりに
朽ちかけた半地下の小屋に
ちょうど30年と3年の年月を
じいさんは投網で魚をとり
ばあさんは亜麻をつむいで。
じいさんは海に投網を打った
投網には泥が入っていた
もう一度打つと海草が入っていた
三度目に投げると
一匹の魚がかかった
並の魚でない、金の魚だった。
なんと金の魚は泣きついてくる
それも人間の声で

「おじいさん、わたしを海に放して
あなたに身代を払うわ
あなたが欲しいものならなんでもあげる」

 『漁師と魚の物語』はこのように始まる。優しいじいさんは、お礼をもらわずに魚を放してやるが、その話を聞いたばあさんは、「せめて洗濯桶でももらってくりゃ良かったのに。うちのは割れてるんだから!」と怒る。

 じいさんがすごすご海岸に戻り、金の魚に呼びかけると、魚が泳いできて、じいさんから事情を聞いて、すぐさま願いをかなえてやる。

 だが、ばあさんの欲望はどんどん限りなくエスカレートし、家が欲しい、貴族になりたい、女王になりたい、と駄々をこねるが、すべて金の魚がかなえてくれる。

 ところがついに「海の王様になりたい」と言ったところで、すべては元の木阿弥、気がつくと元の土小屋があり、その前には割れた洗濯桶が転がっていた・・・。

 とまあ、こういうお話だが、元のグリムのほうでは、途中まで同じなのに、最後にばあさんが「ローマ法皇になりたい!」と言い出したところで、幕となる。

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