=オレグ・ゾロトフ/ロシア通信撮影
イスラエルを参考に
中道左派の野党「公正ロシア」の議員で、内務省少将であるタチアーナ・モスカリコワ氏は、女性を軍隊に募集できるような法案を、一部議員が作成していることを明らかにした。法案の参考にするのは、女性兵士が3分の1を占めるイスラエル国防軍だ。
現在すでに本人の希望により、軍属以外にも、将校、下士官、兵士の契約で軍に入隊することができる。2012年のデータでは、ロシア軍には約5万人の女性の兵士と、ほぼ同数の軍属がいる。
与党「統一ロシア」と共産党は反対
下院で53%の議席を保有する与党「統一ロシア」は、女性志願兵募集の必要性に懐疑的だ。
「現在すでに女性は、講習を受けて、医師、通訳、その他の専門家として軍属になることができる」とセルゲイ・ジェレズニャク国家院副議長は述べた。
第2党の共産党も、この法案を支持していない。
「この平和な時代に女性兵士を増やすことには反対だ。ロシアとは違い、深刻な状態にあるイスラエルやキューバなどのように、徴兵制に変わってしまう恐れがある」とワジム・ソロヴィヨフ共産党法務部会長は話した。
「居住条件もないのに…」
「国防」誌の編集長を務めるイーゴリ・コロトチェンコ氏は、イスラエルはロシアの参考にはならないと考える。
「イスラエルは周囲に敵国を抱えているため、軍隊の戦闘能力を維持することは、国家や国民が生き残るための手段だ。ロシアの状態なら、男性兵士で軍を編成するだけで十分だ」。
「ロシア兵士の母委員会」のワレンチナ・メリニコワ議長は、女性の召集はとんでもない話だと考える。「女性を召集できるような条件はロシアにはそろっていない。契約勤務であれば、寮があるから問題はない。寮で女性区分を設けることが可能だから」。
「イスラエルとは条件が違う」
モスカリコワ氏は、イスラエル国防軍のように、ロシアの女性軍人が優遇制度を利用できるようにすべきだと提案する。「イスラエルでは、女性兵士は家から通勤することが許されていて、それでかなりの額を受け取っている。それ以外にも、特待生として大学に入学できる権利を得たり、兵役につきながら資格を取得したりしている」。
イスラエル国防軍広報部のアンナ・ウコロワ部長は、女性が軍に入隊すると良い効果があると話す。
「良い効果ばかりだ。兵科にかかわらず、特に指導者として優れた能力を発揮する。戦車兵の教官や戦闘機パイロットにもなれる」。
ただ、ロシアで女性を召集することが、必ずしも同様の効果をもたらすとは考えていない。
「イスラエルは国が小さいため、女性は軍隊に属しながら、思う存分家族との時間を楽しめる。ロシアでは家から遠いところで働かなければいけないケースが多い」。
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