プーチン教書演説に対する評価

ミハイル・クレメニチエフ撮影/ロシア通信

ミハイル・クレメニチエフ撮影/ロシア通信

プーチン大統領が4年ぶりに行った年次教書演説について、ロシアの政治学者はそれぞれに評価した。

ウラジーミル・プーチン大統領は12日、今年大統領職に復帰してから初めてとなる、連邦会議(上院)と国家会議(下院)の議員や閣僚に対する年次教書演説を行った。

政治学者らはまず、ロシア国民の「民族的かつ精神的団結を守る」政策に注目し、将来的な政治システムの変革について論評し、特に目新しい話はなかったとしている。

“国民を守る”意欲 

政治情勢センター研究管理者のアレクセイ・チェスナコフ氏は、今後6年の大統領任期で取り組むべき課題を演説のなかで多く示していたとし、「適切でまとまっていた」と評価した。「さまざまな分野の人間(医師、教師、軍人)や、イデオロギー的集団に向けて、具体的なシグナルを発信する演説だったところがポイントだ。改革派も保守派も自分に当てはまる何らかのメッセージを見いだしたはず」。

プーチン大統領の考えでは、国が前進するためには、一定の道徳的規範や標準が定められなければならないが、そうした重要な価値観が盛り込まれた演説だったという。「アレクサンドル・ソルジェニーツィンのいわゆる“国民を守る”意欲が明確に伝わってきた」と、チェスナコフ氏はほとんど手放しで礼賛。

「プーチン氏は、社会が道徳的価値の復活と、愛国心の強化の必要性を求めていることに耳を傾けた。社会的価値についての演説だった」と、政治・経済情報社の最高責任者で、大統領の諮問機関「社会評議会」の委員であるドミトリー・オルロフ氏は語る。

「小選挙区比例代表並立制の復活に賛成」 

プーチン大統領が言及した今後の政治改革、特に混合制(小選挙区比例代表並立制)の復活について、政治学者らは説明した。「政党員数の変化と、知事選復活に関連して、このような改革が必要なのだ」とチェスナコフ氏。

社会経済・政治研究所のドミトリー・バドフスキー所長は、小選挙区制の復活により、ここ数年行われていた政治改革の論理を完成させることができると考える。新システムの選挙は、知事選、連邦会議(上院)新規定に従った組織編成、政党法の制限撤廃への移行をスムーズにする。

オルロフ氏は、新システムで選挙を行えば幅広い利害集団が大同団結する可能性もあり、活発な野党活動を行うさまざまなカリスマ政治家にとって、チャンスになると考えている。「堂々と政府批判ができる、いかなる組織にも属さない、独立した政治家になれる」。

チェスナコフ氏は、大統領が選挙ブロック復活についての議論を始めるよう提案したことに触れた。「どのような規定に合わせてブロックをつくるのか、2つか3つかそれ以上なのか、また、いくつの政党がブロックをつくれるのか、など色んな点を明らかにしなければならない。また、議席を得るための最低得票率が設定されるのか、それは政党に対するものとは異なるのかなどの問題もある。次の国会選挙は2016年だから、十分に議論する時間はある」。

「これまでの教書のくり返し」との意見も 

どの政治学者も教書演説について楽観的な見方をしているわけではない。共産党のセルゲイ・レシュリスキー副議長は、目新しい話は何もなかったと言う。「これまでのプーチンとメドベージェフの演説のくり返しにすぎない。国が発展すると実感できるような新しい話は何も聞けなかった」。

これをバドフスキー所長は真っ向から否定した。「この分野の歴史上類を見ない、もっとも力強い演説だ」。彼によると、この演説は、今後の世界の変革後のロシアについても語られていることから、プーチン氏の大統領任期6年よりも長期的であると言える。

「激動している世界の苦難の時期が過ぎた後、ロシアがその独自性を維持し、ロシアのままでいられるかというのが基本的な問題だ。政府と社会が協力しあえるかによって、10年後の国の未来が決まる」。プーチンが命令口調ではなく、価値や意義を訴えるような口調で演説を行ったことにバドフスキー所長は注目しているという。「なぜ大統領職に復帰したのか、という誰もがこの1年プーチンに問うた質問に対し、彼は演説で答えた。ロシアがロシアのままでいるために、と」。