=ロシア通信撮影
大統領が制服導入を提案
ロシアの学校で制服の着用を再度義務化するという議題は、それが廃止された時から持ち上がっていたように思う。現在は、学校によって制服があったりなかったりと、自由な状態だ。モスクワ市議会の議員らは昨春、制服は貧富の差を目立たなくするという結論を出したが、連邦教育・科学省は、学校に服装規定の導入権があるのに、なぜわざわざ義務化が必要なのかと疑問を投げかけた。制服の国家発注でロシアの軽工業を支援するという、不況対策を提案した連邦産業・貿易省は、全国規模で義務化したいと意欲を燃やし、 さらに大統領府までもが支持した。
きっかけはヒジャブ
この大々的な発表の裏には、スタヴロポリ地方で10月に発生した同じぐらい大きな問題がある。ネフチェクムスク地区のカラ・チュベ村にある学校で、校長がヒジャブをかぶって登校する女子生徒に対し、授業に参加することを禁じた。
女子生徒の家族らはこれを不服として、ムスリム宗務局に訴えた。その後学校はスカーフをかぶっての登校を許可したが、この問題はロシア全土に知れ渡った。スタヴロポリ地方のワレリー・ゼレンコフ知事は、大統領の学校の制服導入に関する提案を支持し、地方の大臣との会議の席でこう述べた。
「世俗主義的な国の教育は世俗的であるべきだ。学校を、宗教的慣習をアピールし合う場にすべきではない」。ゼレンコフ知事は、校則を調査し、制服の規則を作成するよう地方関係者に命じた。どのような規則になるかについて、関係者は何も伝えていないが、この知事令は降ってわいたような話となった。
ただちに下院も全国の制服統一化を提案
これにただちに反応したのは下院(国家会議)で、議員は大統領より断固たる調子で、全国の制服統一化を提案している。ロシアはイギリスや日本のように、制服を着用せずには学校に行けない国になるか、あるいはそれ以上の厳しい国になるかもしれない。
イギリスのレスター大学で、教育・社会的公正問題を研究するエンマ・スミス教授によると、イギリスではほぼどの学校にも、独自の伝統に応じた服装規定があるため、国家的な統一制服はないという。
「小学校は生徒の服装に対して民主主義的で、中学校になるとネクタイとジャケットを着用する正装を生徒に求めている」。
欧州でも宗教問題が発端に
学校内の宗教的問題については、2000年代に、イギリスに限らず、ヨーロッパ全体で大きな議論が巻き起こった。
「現在はそれぞれの学校が独自の規則を定めており、不満を持つ父兄は裁判所に訴える。通常、イスラム教徒の女子生徒がヒジャブをかぶることは許可されているものの、ニカブ(目以外を覆うベール)を禁止した例は有名となっている」。こうスミス教授は説明する。
イギリス政府は、制服によって学校への属性を感じ、義務を学ぶことができるため、制服の保存に賛成している。その代わり、自分の好きな靴やカバンを選んで、自分らしさをアピールすることができるようになっているという。
制服のジャケットとジーンズ(ソ連時代ジーンズはかなりエキゾチックだったが)を着て、スカートをミニ丈に詰めていたソ連時代の生徒たちは、制服が何かを知っている。イギリス人に聞くまでもなくよく理解しているし、自分の子供たちには経験にもとづいたアドバイスをするだろう。
*記事の完全版(ロシア語)
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