貴族の子弟のためのリツェイ創設

Lori/Legion Media撮影

Lori/Legion Media撮影

1811年の今日、10月31日に、サンクトペテルブルク近郊の皇帝の避暑地、ツァールスコエ・セローに、貴族の子弟のための高等教育機関「リツェイ」(学習院)が創設された。将来の国民詩人アレクサンドル・プーシキンはその一期生だった。

プーシキンの学年には、詩人でデカブリストのヴィリゲリム・キュヘリベッケル、デカブリストのイワン・プーシチン、詩人アントン・デリヴィック、皇帝アレクサンドル2世のもとで長く外相を務めたアレクサンドル・ゴルチャコフなどがおり、たがいに親交をむすんだ。

当初は、修了年限は6年で、指導要領は、国政の改革者であったミハイル・スペランスキーが作成した。教育目的は、優秀な高級官僚を養成することで、学科は、人文系統や法律などが中心だったが、数学、物理学など自然科学の科目もあった。

「琥珀の間」のエカテリーナ宮殿のとなり 

リツェイのロケーションは最高で、「琥珀の間」で名高いエカテリーナ宮殿のすぐとなりにある。現在は博物館となっており、当時のたたずまいが良く保存されている。

プーシキンは、在学中に、約150篇の詩を書き、進級公開試験で、詩壇の老大家ミハイル・デルジャーヴィンのまえで、自作の詩「ツァールスコエ・セロー」の思い出を朗読して激賞され、一躍その名を知られるようになった。

作家で文芸学者のユーリー・トゥイニャーノフ(1894~1943)は、詩人キュヘリベーケルの小説仕立ての評伝「キューフリャ」で、リツェイの青春群像を生き生きと描いている(邦題「デカブリスト物語」島田陽訳、白水社)。

「リツェイの日」 

プーシキンの詩には、10月19日の日付がしばしば出てくるが、これは旧暦(ユリウス暦)でのリツェイ創立の日だ。

現在、10月19日は、「リツェイ(リセ)の日」として全国で祝われるほか、各地から文化人がここ、ツァールスコエ・セローのリツェイに集まり、プーシキンの銅像(ベンチに座る詩人のブロンズ像)や、詩人が住んでいた寄宿舎の14号室に花束を捧げる。