=GettyImages/Fotobank撮影
「金銭や金銭的価値のある他の利益に限らず、物ではないあらゆる特典もワイロとして見なされるようになり、影響力を利用した取引に対して、刑事責任を追求していく」と、アレクサンドル・ブクスマン副検事総長が説明した。
「奨励、登用、サービス、違法活動や特定の活動拒否などへの協力など、あらゆる形での補償が、“非物的ワイロ”と見なされるようになるでしょう」と、弁護士事務所「セリュチン&パートナーズ」の共同経営者で弁護士であるアレクサンドル・セリュチン氏が述べた。
その際、役職にかかわらず、誰に対しても法が平等に適用されるように希望すると、セリュチン氏は指摘し、アメリカでは大統領も汚職に対する刑事責任からは逃れられないと付け加えた。「イリノイ州選出のロッド・ブラゴジェビッチ上院議員は14年の禁固刑を言い渡されました」。
昨年12月、上院議員で前知事のブラゴジェビッチ氏は、オバマ氏の大統領選出で空席となった上院議員の指名に当たって、見返りに金銭等を要求したなどとして、シカゴの連邦地裁は禁錮14年の判決を下している。
「現行法の枠内で対処できる」
ただ、ロシアの法律家たちは、この規則が実際に汚職撲滅に役に立つということには懐疑的だ。ワジム・コブゼフ弁護士の考えでは、ワイロの概念を拡大するという総検事局の提案は、実際的な意味を持たないという。
「これまでの経験で、汚職の刑事事件の多くでは、金銭または株式、不動産などの金銭的価値のある物を受領したかという、簡単で評価しやすい点が争点になっています」。
総検事局が言う「金品以外のサービス」、例えば、卒業証書の受領、記事の発行、性的サービスなどは、基本的には、その評価額を決めることは不可能ではなく、現行法の枠内で処理できると、コブゼフ弁護士は考えている。
「現行法には、ワイロとの闘いを強化するためのあらゆる項目がありますから、こういったスローガンや構想はあまり意味がありません。今やワイロと闘うための障害は一切ないのですから、あとはうまく摘発できる能力が必要なだけです」とワジム・クリュヴガント弁護士は述べた。
機先を制する心理的効果
ウラジーミル・ジェレベンコフ弁護士は、最高検察庁と同じく、この対策が「機先を制する」ためのものだと考える。
「現代社会の発展を考えれば、法案は必要です。現在のロシア刑法典では、ワイロの評価が必要となるため、刑事責任を追求しにくい。今回の法案でこの問題が解決される可能性があります」。
“非物的サービス”についての条項は、「具体的なサービスを提供したり利用したりすることで、刑事責任を問われる可能性があるということを人々に理解させるためだけにでも」、現行の刑法典に加えるべきだ、とジェレベンコフ弁護士は言う。
現行の刑法典によると、ワイロを贈ったりまたは受け取ったりした場合、ワイロの最大100倍の罰金、最大15年の禁固刑、長期間一定の役職に就く権利のはく奪などが課せられる。
*イタル・タス通信、ロシア通信、RBCデイリー紙、RAPSIなどの記事の資料を使用
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