アジアの眠れるビジネスチャンス

ウラジオストクに「ソラーズ」・マツダ合弁企業 =タス通信撮影

ウラジオストクに「ソラーズ」・マツダ合弁企業 =タス通信撮影

ロシア・ビジネスは、アジア太平洋地域(APR)に向けて動き始めた。しかし国営会社らの緩慢な動き、専門スタッフの欠如、すでに大きく損われた、ロシアに対するアジア投資家の信頼は、この地域に隣接している有利さをロシアが活用する妨げになっている。

眠りっぱなしの巨大な可能性 

中国とのきわめて順調なビジネスを構築した、カナダの採掘会社アイバンホー・マインズのCEO(最高経営責任者)だったロバート・フリーランド氏が、2年前に、モスクワで開催されていた投資フォーラム「ルネッサンス・キャピタル」のロビーで、こう叫んだ。

「なぜこんなことが起きているのか理解できない! 皆さんの国の土地は、鉱物資源で一杯だ! 金属、肥料、石炭、石油、ガスなど、何でもある。しかも中国市場がすぐ隣だ。ただ、成功させるには、何かを建設しなくては。鉄道、港湾、パイプラインだ。遅かれ早かれ、何かをやり始めなくては」。

しかし、同氏は明瞭な返事をもらえなかった。

 ロシアの鉱物資源の70%はウラル以東に集中しており、アジア市場はかなり近いにもかかわらず、APEC経済の商品流通におけるロシアの割合は1%水準を上下している。

 認識とインフラの欠如 

 「ロシアがこの地域の巨大な潜在力を十分に稼動させていない原因はいくつかある」と、香港のユーラシア・キャピタル・パートナーズ社のマネージング・パートナー、セルゲイ・マン氏は指摘する。「第一は、大手企業、とくに国営会社に、地域全体の総合的視野が欠如していること。第二は、輸送インフラの欠如。第三の要因は、東アジアと東南アジアからの外国直接投資を引き込むためのインフラが欠如していることだ」。

 一方、ロシアは、石油・ガスなど炭化水素の輸出を多角化し、ヨーロッパ向け(これは80%以上にのぼる)からアジア向けに方向転換させたいとの希望を以前から表明している。その例になりうるのが、中国への地上パイプライン建設プロジェクトだ。2010年にはパイプラインが始動し、その翌年に、意外にも中国は、ロシアの輸送料金が不当に高いことを理由に、ロシアの石油代金を払うのを中止した。ロシアは中国に、裁判に訴えると脅したが、状況を変える現実的なテコにはならなかった。

 パイプラインのルートの選択 

 ガスプロム社とロスネフチ社の問題の解決になるとしたら、それは、パイプラインを太平洋沿岸まで敷設し、各国が原料を自由市場で購入できるようにすることだろう。ガスプロム社は、中国へのパイプライン建設を行うべきか、それとも、ロスネフチ社の悲しい経験をふまえて、沿海州にガス液化工場を建設するかを決めなければならない。

 ロシア極東地域の輸送インフラの欠如は、石油、金属、あるいは穀物をアジアに輸出しようとしているすべての企業にとっても、大きな問題だ。港湾能力の現状では、輸出量を増やすことは不可能だ。現在のところ、シベリア横断鉄道沿いの多くの産地に、個々の支線が伸びてはいない。

 アジア資本の導入が不可欠だが 

 問題の解決になるのは、インフラ・プロジェクト実現に向けて、アジア資本を引き入れることだろう。しかしこの点でも、ロシアはとくに自慢できるものはない。「アジアからの直接投資は、まだ萌芽期だ」とセルゲイ・マン氏は断言する。国家が、ロシア直接投資基金の援助を借りてこの問題を解決しようとしたのは最近のことだが、過去数か月に、ただひとつのプロジェクトも、依然、融資を受けていない。

 「それでもロシアとアジアの協力には、巨大な潜在力がある。ロシアの輸出製品のこれほどの市場、プロジェクト実現のための資本は、やはり他にはない。ロシアに必要なのは、この地域でのビジネスを習得し、専門知識を深め、商業サービスや投資導入の専門スタッフを育てることだ」とセルゲイ・マン氏は考える。

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