=ロイター/Vostock-Photo撮影
野党、8月19日に大規模デモを予定
複数の専門家は、今秋にデモがぶり返す可能性があると言う。1991年8月19日のソ連保守派によるクーデターの記念日には、モスクワで反政府デモが計画されている。しかしながら、この状況下で、政治情報センターのアレクセイ・ムヒン所長は、「国と政治システムは、反体制派に対するあからさまな抑圧政策からは守られている」と落ち着いている。
これ以上の「締め付け」も十分起こり得る。話題の女性パンクグループ「プッシー・ライオット」裁判と、目ぼしい反体制派指導者への捜査だけが不安材料なのではない。もっと重要なのは、一連の法改正だ。非営利団体の活動を難しくし、デモ規制違反の責任を厳しくし、誹謗に対して刑事責任を問えるようになった。
しかも問題は、法律自体よりも、ロシア的な法律の運用だ。一見筋の通った法律が、反対意見抑圧メカニズムに変わってしまう。
ただ、政党の登録手続きの簡易化、知事の公選制復活など、比較的リベラルな規定が多くなったのも事実ではある。
苦肉の策で、対立軟化に躍起
対立を軟化させたい政府は、法律以外の対策も講じている。来年1月から、クレムリンや特定の政党に依存しない、公共テレビの放送を始めるし、国家機関に多くの諮問機関を設立し、目ぼしい反体制派の人々に声をかけている。
例えば、ロシア教育・科学省の社会評議会には、春のデモで活発に活動した作家のドミトリー・ブィコフ氏や、「市民プラットフォーム」党創設者であるミハイル・プロホロフ氏の姉のイリーナ氏などが招待された。
このようなさまざまな動きがあったからといって、100日でプーチン大統領が完全に社会の不満を鎮めたとは専門家は考えていないが、最近の世論調査の結果では、国民の約半数が大統領を支持している。こういう政治状況にあっては、各派の間でバランスを取るのが賢いやり方だろう。
原油価格が暴落する前に…
経済状況は政治より悪く、構造改革はまだ始まっていない。
政治学者のパーヴェル・スヴャテンコフ氏はこう警告する。
「プーチンの基本的な課題は、自身の関与のもとで12年間で築いた、西側への資源輸出に依存する経済モデルから脱却することだ。ロシア経済は、今のシナリオでいけば、脆弱性が強まるだけだ。軍や産業などが弱体化していて、国の崩壊につながりかねないし、石油価格が低下すれば、その打撃はとてつもなく大きくなる」。
国の崩壊が起こらないように祈るだけだ。一般的に、政府批判の背景には、経済問題が存在し、不況の根が深いほど、批判が大きくなる。
経済構造改革待ったなし
どの専門家も、力強い経済戦略や、プーチン大統領が創った「縦割り行政」の解体、地方自治の発展の必要性を訴えている。
プーチン大統領は、最初の100日間で、合法的に大統領に再任したことを証明するという重要な課題の一つを果たしたのだから、今後は、上の課題を実施していくと予想される。
スヴャテンコフ氏はこう続けた。「反体制派を含むロシア社会は、プーチン大統領が実際に選挙に勝利した、合法的な大統領であると、渋々認めた」。
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