玄葉外相 「ユメ」を道連れにロシア訪問

=タス通信撮影

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7月27日から4日間にわたり、玄葉光一郎外相がロシアを公式訪問する。日本のマスコミ報道によれば、玄葉外相は、以前野田首相がプーチン大統領に約束した秋田犬の子犬「ユメ」を連れてくるという。実際、玄葉外相が子犬を、今週末ソチに出発するプーチン大統領に手渡すのかどうか、明らかではないが、ソチでは玄葉外相とラヴロフ外相の会談が予定されている。玄葉外相自身は、犬どころではないのが本音だろう。

出発前、東京で行われた記者会見で、玄葉外相は、ロシアと共同で北方領土4島の開発を行うことをあり得るとしながらも、協力の形態が、この問題に関するよく知られた日本の立場に矛盾するものであってはならないと付け加えるのを忘れなかった。玄葉外相は、一体どんな形態が、日本の立場と矛盾しないかについて詳しく明らかにはせず、現在、この問題の具体的かつ詳しい検討がなされていると説明した。

 玄葉外相の言葉によれば、彼は、信頼の雰囲気を作るための第一歩をしるす意向で、自分にとっての初のロシア訪問が、領土問題解決を進展させうるものとなるよう期待している。 玄葉外相の意向が、実現するチャンスはあるのだろうか? 又彼の初の訪問は、ロ日関係の転換点となるだろうか?日本問題の権威である歴史学者アレクサンドル・メシチェリャコフ氏にぶつけてみた―

 「関係に現実的前進が起こりえます。しかし、それは多くの点で、日本の国内的な要素次第です。現在、日本が抱える基本的な問題は、外交政策面にあるのではなく、エネルギー分野にあります。差し迫った問題は、原発を再稼働させるか否かで、政府諸機関も大手企業もロビー活動を、大変強力に展開中です。しかし、原発に反対する世論も非常に強力です。ロ日関係の発展は、かなりの程度、この二つのうちのどちらがより大きな力を得るかによるでしょう。つまり、日本が最終的に、自らの原子力エネルギーをどう扱うかにかかっているという事です。『島』の問題に関していえば、日本の指導部には、条件付きではありますが大きく分けて、2つのウイングがあります。一つは、南クリルの島々の返還を断固要求する理想主義的なグループで、もう一つは、よりプラグマチックで、島の返還を求めながらも、それは決して戻らないだろうと理解し、そうした現実と生きてゆく必要があると捉えているグループです」。

 永久に領土問題に躓いていては、ロ日間に正常な相互関係を築くことは困難だ。しかし、どんなに大変な問題でも、歩み寄り解決の道を見つけ出せないようなものはないとも言われる。なぜなら、ロシアと日本の国益は、この問題を過熱化させるのを許しはしないからだ。 「しかし残念なことに、ロシアにおいても日本においても、この点に関し皆が理解しているわけではない」-そうメシチェリャコフ博士は嘆いている―

「もし我々が、日本との善隣関係を築きたいと望むのであれば、日本の指導部が自分達の国民の前で『面目をなくす』ようなことをしてはならないと考えるべきでしょう。残念ながら、ロシアの世論、そして政治エリートの一部の中には、対日関係を軽んずる向きがあります。日本は世界的な偉大な大国です。日本にないのは資源と核兵器だけでしょう。しかし、核兵器は持とうと思えば、明後日にもそれが可能なのです。ですから日本との関係を先鋭化させるのは、大変危険です。日本の『鼻をはじく』ようなことをするものは皆、時折そうした事から満足感を得るロシアの政治家も若干いるにはいますが、戦略的敗北者だと言えます。なぜなら、そうしたゲームは、非核3原則の見直しを求めて戦う日本の極右に手を貸すことになるからです。日本にはもちろん、外国市場へ依存していることからくる、ひどくひ弱な部分もありますが、まさにそのことに、ロシアと日本のお互いの戦略的利益があるのではないでしょうか」。

ロ日両国の利益は、多くの点で一致している。しかしロシアにも又日本にも、又ほかの国にも、互いが仲よくするのをよく思わない人々がいるものだ。例えば、つい先日、ロシアや外国のマスコミに、日本人は、プーチン大統領の犬好きを利用して、彼を自分達に有利な側に引き寄せようとしているといった、まるで馬鹿げた記事が現れた。 なおプーチン大統領に子犬を贈ろうというアイデアの提唱者である佐竹敬久(のりひさ)秋田県知事は「このプレゼントは、昨年3月の東日本大震災と津波の後、ロシアの人々が示してくれた支援に対する単なる感謝の印であり、秋田県の子犬は、忠実さと無限の愛の象徴だ」と述べている。