辻井伸行=PhotoXPress撮影
2時間の枠で10月に放映
番組は2時間の枠で10月に放送される。撮影班と辻井さんは、チャイコフスキーにゆかりのある、サンクトペテルブルク、クリン、モスクワ、ボトキンスクで撮影を行った。番組内では、辻井さんが奏でるチャイコフスキーの音楽が使われる。
フジテレビのプロデューサーは、番組のねらいについてこう語った。
「私達は、歴史と現在を重ね合わせようとしているのです。辻井さんはチャイコフスキーがかつて歩いた場所を訪れます。もちろん、当時とは様子がすっかり変わっていますが、私達は、チャイコフスキーの音楽がロシアの実像といかに融け合っているかをお見せしたいと思うのです」。
「美しくて、大きくて、時に激しすぎる」
辻井さんは付き添いの人と赤の広場を進み、カメラマンは背景に空と聖ワシーリー大聖堂が映るように撮影する。恐らくこれが最初のカットになるのだろう。
辻井さんはこう話してくれた。「小さい頃、母が食べ物を通して色の意味を教えてくれました。例えば、ソバで緑色をイメージするんです。今はロシアを味や臭いで感じとっています」。
それでロシアで何をお感じになりますか、と尋ねると―
「何か美しくて、大きくて、時に激しすぎるというか、まだ正しく表現できる言葉を見つけられていません。細かくいろいろありすぎるので」。
子供の頃からの夢だったアシュケナージとの競演を実現
今回はサンクトペテルブルクの音楽祭「白夜の星」で、ワレリー・ゲルギエフと共演し、ソロ演奏も披露した。辻井さんが初めてロシアに来たのは15年前の8歳の時で、コンサート「世界の星~子供たちへ」で演奏した。
現在は、ソリストとして、ウラジーミル・アシュケナージ氏、佐渡裕氏、ウラジーミル・スピバコフ氏などが指揮するオーケストラと共演し、また大学の英語の教科書にも登場している。
ロシアの音楽家と共演することで、何が得られるのだろうか。
「常に新しい経験になるのです。アシュケナージさんのCDは子供の頃から持っていて、CDを聞いた時から、ずっとお会いできる日を待ち続けていました」。
世界の音に聴き入る
辻井さんはその人気の高さにもかかわらず、素朴で愛らしく、しかも人を逸らさない。いつも世界の音に聴き入っているかのような印象を受ける。新たな印象を貪欲に求め、それを隠さない。
「旅行が好きで、トレッキング(山歩き)や川下りをしています。こういった活動すべてが、私の創作の源になります」。
辻井さんは自分でも音楽を作曲し、自身のソロ・コンサートでそれを披露している。
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