ブランド名となった「プーチン」

=ニヤズ・カリム

=ニヤズ・カリム

自分の名をブランド化できた政治家は少ないが、ウラジーミル・プーチンはそれに成功した人物の一人といえる。

政治の舞台に立ち13年。首相と大統領の座に二回ずつ就いたプーチン氏は、ロシアの象徴となっただけでなく、一種の政治家像を築きあげた。

国の明日が見えない中、独自の強硬路線を突き進むことのできる強い指導者が求められた。発展した民主制でこれを行うことはほぼ不可能だが、転換期に置かれた社会では、専制政治を制限する構造が確立できていないため、素早く、比較的単純な決定に対する信頼が厚くなる。

プーチン氏はロシアという国家そのものよりも、より強い影響力があると世界で考えられている。狡猾で鋭敏、また人一倍危険な政治家だからこそ、自分の目的を実現できるというのが一般的な見方だ。西側諸国のマスコミはプーチン氏の悪いイメージづくりをしているが、裏を返せば、同氏の個性に魅了されているといえる。制度に縛られず、西側の指導者の力ではなし得ないようなことをなし遂げるためだ。

プーチン氏は徹底した反イデオロギー派で、必要に応じて政治をひっくり返し、また自分の課題を解決するために、あらゆるレトリックを使う。不公正であることを隠さず、それ故に優先事項を率直かつ明確に決めることができる。国の最高権力にどっしりと構えることで、グレート・ゲームにおける極めて柔軟な対応を可能にしているのである。ロシアは同盟関係の義務にしばられず、自由を手に入れた、世界でも数少ない国の一つだ。プーチン氏は現実政治の原則に従っている。現実政治とは、目論見よりも潜在性が重視され、勢力の相関関係によって変わり、ステータスが物質的な観点から決まる政治だ。やり方が古いとよく批判されるが、かなり単純で、わかり易い。

これらの多くは西側の指導者には真似できない。それは、イデオロギー(価値ある取り組み)や同盟義務(NATO)、自分の目論見を覆うぶ厚いプロパガンダのカバーなどのために、そのカバーを信じてしまうようになり、目論見を見失ってしまうことと関係がある。また、世論、有権者、利益団体などに依存しすぎていることも、その要因の一つだ。

プーチン氏に対する独特な人気は、人々の心にある不安を証明するものでもある。混乱を収拾できない政権に対する不安と、このような毅然たる指導者が混乱を正常な状態に導いてくれるのではないか、という漠然とした期待が入り混じったものだ。

プーチン氏はこのような姿勢と、それに伴う世界政治における影響力を、新しい任期で保持し続けるだろうか。そのためには、平等でバランスの取れた専制政治を維持していく必要がある、というのが矛盾点だ。あらゆる歪みが強固なビジョンを破壊してしまう。ロシア政治の雰囲気は変わっているし、転換を意識しながら、プーチン氏は白黒をはっきりさせなければならなくなる。プーチン氏がつまずけば、国内からも国外からも、倒そうとする人間がすぐにたくさん現れるだろう。