宇宙基地で極東活性化を目指すロシア: 宇宙基地は過多ではないのか

=ロシア通信撮影

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ロシア政府は、国内の人口密度が偏っていることを問題視し、極東の宇宙基地建設計画を解決の突破口にしようとしている。

ロシアのドミトリー・ロゴジン副首相は、アムール州ウグレゴルスク村近くにあるボストチヌイ宇宙基地の稼働開始を2015年と発表した。この新しい宇宙基地は、旧ソ連地域にある同類の基地を含めて4カ所目、ロケット打ち上げに使用されたカプースチン・ヤール開発基地や戦略ロケット軍の基地を除くと、ロシア国内で3カ所目となる。

基地の候補用地はまだ更地のままとなっているが、カザフスタンにあるバイコヌール宇宙基地も、最初に人工衛星を打ち上げた年の3年前にあたる1954年の段階では、同様に更地だった。バイコヌール宇宙基地と異なる点は、今回の用地の周囲がタイガ(針葉樹林)であることで、主要なロケット製造拠点からほぼ6000キロも離れ、バイコヌールの2倍強の距離がある。また、必要不可欠なインフラ機器や機械の製造拠点も同様で、ほとんどがロシアの西部に位置しているため、遠いのが現状である。

インフラは揃えることが出来ても、ボストチヌイ宇宙基地からいかなるロケットを飛ばすかということも考えると、建設期間の短さは厳しいものがある。目指しているのは先進的な基地で、ロケットのコンポーネントが積載できる超大型軍用輸送機「ルスラーン」を受け入れることのできる5000メータの滑走路も必要だ。バイコヌールでは、用地内の配置計画から初のR-7ロケット試験打ち上げまでを3年でやり遂げるという快挙が、当時のソ連政府によって成し遂げられたわけだが、今なぜ同様の記録づくりが必要なのだろうか。

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ボストチヌイの地理的優位性にも疑問がある。ボストチヌイはプレセツク宇宙基地よりも赤道に近いが、バイコヌール宇宙基地よりも遠く、打ち上げ基地としてはあまり有利な環境とは言えない上、両基地に比べ、都市部からより離れた僻地である。建設の目的は何なのだろうか。

バイコヌールは高い借用料が必要な上、ロシアとカザフスタンの関係は、発射事故の問題をめぐって、しばしば不安定になる。その一方で、両国の一体化に欠かせない唯一の「かすがい」でもあり、地元住民の就職先確保、ロシア人の定住、科学交流や文化交流など、平和な友好関係を維持する役割を担っている。バイコヌールとボストチヌイの2カ所が必要となるようなロケット打ち上げの増発に関する情報は一切なく、ボストチヌイ稼働後にバイコヌールの打ち上げ数を減らせば、衰退化を招くことにしかならない。

極東に新基地を建設する主な目的は、ハイテクで高給な就職先を用意し、サービス産業などの追加的な就業人口の拡大を図り、全体的な経済を刺激し、この地域を活性化していくことである。

ロゴジン副首相は、中国、インド、日本、南北朝鮮などの主要国と近いことを協調した上で、ロシア東部にボストチヌイ宇宙基地を建設することで、国内の偏った人口密度を分散できるとし、次のように述べた。「ボストチヌイは、宇宙分野の課題全般を解決できる可能性を生みだす。すなわち、浅宇宙と深宇宙に打ち上げるということだ。南緯度域では重量のある宇宙船を適確な軌道にのせることができる。さらに、政府は極めて生活の便利な街づくりを推進することを決定した」。

極東にハイテクな就業場所を増やすことが最重要課題であることは確かだが、宇宙基地の建設ではなく、他の方法で何とかなりそうなものだ。