北朝鮮の衛星発射予告が招いた新たな緊張の局面

北朝鮮は故金日成主席の生誕100周年に合わせ、人工衛星を打ち上げる予定であると発表した=AP撮影

北朝鮮は故金日成主席の生誕100周年に合わせ、人工衛星を打ち上げる予定であると発表した=AP撮影

先週金曜日、北朝鮮は故金日成主席の生誕100周年に合わせ、人工衛星を打ち上げる予定であると発表した。

発射は414日から16日になると見られている。米国、中国、ロシア、日本、韓国の5カ国、国連事務総長やEU代表部など、重要な役割を担う国や機関の代表らがこれに反応した。米国のクリントン国務長官は、「ロケットが発射されれば、この地域の安全性が脅かされる。長距離ミサイル発射の一時凍結を約束した米朝合意に違反するものだ」と言明した。

ロシア外務省も声明を発表した。「宇宙空間の平和利用に対する北朝鮮の主権について、(ロシアは)否定したことはない。しかしながら、国連安保理決議1874では、軍事目的か民間ロケットかにかかわらず、弾道ミサイル技術を利用したロケットの発射すべてを禁止している」。

最も語気を強めたのは韓国である。月曜日、韓国の大統領広報官は「北朝鮮の『人工衛星』は、核兵器を搭載する長距離弾道ミサイルの開発につながるもので、発射計画は挑発行為である」との声明を発表した。

また、326日から27日に行われる核安全保障サミットの開催国となる韓国が、この衛星打ち上げ問題を議題とする予定であることもわかった。「読売新聞」の報道によると、このサミットにはアメリカのオバマ大統領やロシアのメドベージェフ大統領など、53カ国の首脳級代表が出席するが、この議題はサミットに際して行われる2国間協議の中でも扱われるという。 

北朝鮮は、こうした動きをにらんで発射を予告したと考えられる。

モスクワ大学朝鮮研究センターのパーヴェル・レシャコフ所長は、国内に向けては国の新たな発展を、対外的には軍事力増強を、それぞれアピールする狙いがあるのではないか、と見ている。

昨年12月に金正日総書記が死去し、若い金正恩氏が政権の座についたことで、北朝鮮核問題の協議が再開されるとの希望が生まれていた。

223日から24日にかけて、北朝鮮の金桂冠第1外務次官とアメリカのデービース北朝鮮担当特別代表が中国の北京で協議した際、北朝鮮は核実験、長距離ミサイルの試験発射、寧辺でのウラン濃縮活動を一時停止することに同意し、アメリカが求めていたウラン濃縮活動の一時凍結に対するIAEAの監視受入れにも合意した。

アメリカはその見返りとして、不作や洪水で1年以上苦しんでいる北朝鮮に対し、24万トンの食料支援を約束し、その拡大の可能性も示唆していたところだった。

だが、朝鮮半島の非核化に関する次の6カ国協議(アメリカ、ロシア、中国、日本、韓国、北朝鮮)に、飢えた物乞い国ではなく、対等な軍事力を持った参加国として出席したいという、北朝鮮の意向は明らかだ。この軍事力とは、核兵器とその搭載が可能な弾道ミサイルである。衛星発射予告は、北朝鮮にそれらがすべてそろっていることと、いつでも使用できる準備があることを強調する狙いがある。

米国のヌーランド国務省報道官は、衛星が発射されれば、食糧支援は行われなくなることを明らかにした。

北朝鮮は乏しい食糧供給に我慢できなくなるだろう。だが一方で、西側諸国によるリビアへの介入や、シリアとイランに対する直接的な警告は、昨年12月の新指導者への移行以上に、北朝鮮の外交政策に影響を与えているのだ。

現状での6カ国協議実施は考えにくい。この国に対する軍事的解決は、イランよりリスクが高くなるだろう。かといって、現在の北朝鮮の政権崩壊を待つのは甘すぎる。アメとムチで対応していく他ない。さまざまな緊張度の衝突を招きつつ、制裁と協議、そしてまた協議と制裁、と繰り返していくしかないようだ。