大詰めのロシア大 統領選

=AP通信撮影

=AP通信撮影

ロシア大統領選挙まであと2週間足らず。これまでと違って与党に逆風が吹いている。経済危機を背景に、中流階層の抗議行動が展開する中、新顔の大富豪ミハイル・プロホロフ氏が、中流支持を打ち出しつつ、登場した。同氏が台風の目となって一波乱起きるのか―。各候補の横顔にスポットを当てた。

ミハイル・プロホロフ(46歳)

ミハイル・プロホロフ(46歳) 

誕生     1965年5月3日

地  モスクワ

謎の大富豪

プロホロフ氏は、唯一「無所属」の候補。政治経験は乏しいものの、ロシアで最も成功した実業家の一人だ。
ロシア最大の金の生産量を誇る「ポリュス・ゴールド社」会長で、投資ファンド「オネクシム」グループ総帥。フォーブス誌の2011年の集計では、資産180億ドルでロシア第3位。ちなみに、身長は2メートル4センチある。
選挙綱領に掲げているのは、中小企業の発展、生産技術の向上、汚職の追放。支持基盤は中流階級と見られる。
多くの人は同氏の「自主性」を疑問視しているが、コメルサント紙の政治評論家スタニスラフ・クーチェル氏は「いずれ完全に自立した活動を本気で始めるかもしれない。明らかにお金よりもドライブ感を好むタイプだから」との見立てだ。
 

ウラジーミル・ジリノフスキー

 (65歳)

ウラジーミル・ジリノフスキー(65歳)

誕生     1946年4月25日

地 カザフスタン共和国

エキセントリックな「道化」

極右「自由民主党」党首、ウラジーミル・ジリノフスキー氏の大統領選出馬は今回で5度目、得票率が2桁に達したことは一度もない。
今回も社会的弱者保護に力点を置き、大規模な恩赦を実施、年金受給者の解雇禁止を約束。
エキセントリックな言動で「道化」呼ばわりされることもあるが、その政治的勘としたたかさには定評がある。

 

 

 

ゲンナジー・ジュガーノフ(67歳)

ゲンナジー・ジュガーノフ(67歳)

誕生       1944年6月26日

出生地  オリョール州

過去へのノスタルジー

「ロシア共産党」は、ここ20年間で大統領選に勝利する現実的チャンスを有していた唯一の野党勢力(1996年にエリツィン氏はジュガーノフ氏に第二回投票で辛勝した)で、議会選挙では常に与党に次ぐ第2位を維持してきた。その党首がゲンナジー・ジュガーノフ氏だ。
主な支持層は、ソ連時代を懐かしむ高齢世代。しかし、共産党が、高齢者の不満を吸収する心理的受け皿として機能、むしろ現体制の安全装置になっている。



 

セルゲイ・ミローノフ(59歳)

セルゲイ・ミローノフ(59歳)

誕生    1953年2月14日

地 レニングラード州

親クレムリンの「野党」

「公正ロシア」党首セルゲイ・ミローノフ氏は、「与党・統一ロシアの政策には与しないが、プーチン氏の路線を支持する」と再三言明してきた。同氏は元来プーチン氏の側近で、元上院(連邦会議)議長。
「こんなどっちつかずの姿勢は有権者の理解を得られない」と民間シンクタンク「国家戦略会議」のホミャコフ代表は切り捨てる。

 

 

ウラジーミル・プーチン(60歳)

ウラジーミル・プーチン(60歳)

誕生       1952年10月7日

地 レニングラード

依然大本命だが

政治学者は口を揃えて、首相ウラジーミル・プーチン氏を本命に挙げている。訴えているのは、国の漸進的発展と安定。
しかし、脱工業化社会調査センターのイノゼムツェフ所長は「辛い時代の記憶がない新しい世代が成長しており、1990年代はひどかったというプーチン氏のお定まりの言説は彼らの心に響かない」と指摘。この新世代の層のボリュームはどのくらいあり、誰に投票するのか?

 

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