APEC議長国として
イーゴリ・イワノフ
元ロシア
連邦外相 、「ロシアNOW」への特別寄稿
イーゴリ・イワノフ元ロシア
連邦外相=ロシースカヤ・ガゼータ紙撮影
ロシアは、2012年 11 月のAPEC(アジア太平洋経済協力)で議長国を務める。これを一つのきっかけとしてロシアは、アジア太平洋地域において、自国に重要な分野で多面的な協力関係を発展させていかねばならない。
そうした分野の一つは、貿易と投資の自由化、および地域の経済統合だ。貿易自由化の問題は主に当面の課題だが、来年は、APECの経済統合の長期的展望に議題を絞るのが適当だろう。
その際には、CIS(独立国家共同体)でロシアが進めている統合プロセスをも考慮すべきである。
また、この地域および世界での金融・経済危機の防止についても議論が集まるだろう。
APEC諸国は、今世界経済の大半を占めており、経済発展を適切にコントロールする特別の責任がある。
食料安全保障での連携
もう一つ優先される分野は、食料安全保障の強化である。この問題はおそらく、 21 世紀の世界政治にとって主な問題の一つとなるだろう。そして、この方面でのAPEC地域の役割は極めて大きい。
ところが、この地域では、この分野における多面的な協力はまだようやく始まったばかりだ。食料価格の変動を縮小する、農業製品の輸送に際しての損失を少なくする、主要農作物の収穫率向上のために各国の取り組みを調整する―。こういった問題が重要性を増していることは明らかだ。さらに、優先分野として、地域の物流の発展がある。ロシアは、その地理的位置ゆえにアジアと欧州の間の中継国となっているが、その大陸間輸送回廊としての可能性は、まだ十分利用されてはいない。
官民が連携しつつ、国境通過の際の出費や時間のロスを縮小する、大規模なインフラ・プロジェクト(例えば、港湾、空港、輸送路の現代化)を実現する―。こうした問題が、向こう一年間、そしてウラジオストクでのサミットの場で協議されるものと私たちは期待している。
APEC首脳会議は、この地域全体のイノベーションのテーマを大きく取り上げる機会でもある。
新技術の研究、開発を推進していくうえで、学界、実業界、国家が最も効率的に連携していくためにはどうすべきか?
イノベーションセンター、学術機関相互の協力を新たなレベルに引き上げるにはどうすべきか?
専門家たちの交流、移動、移住を促進するにはどうすべきか?
いかに知的所有権を保護し、無許可複製品の流通を減らすのか? この種の問題は、ロシアのみならずアジアの近隣諸国にとってもますます重要になりつつある。