プーチン首相は自前のEUを建設する

与党「統一ロシア」党大会でプーチン首相=Kremlin.ru撮影

与党「統一ロシア」党大会でプーチン首相=Kremlin.ru撮影

プーチン首相は、選挙キャンペーンの過程で取り組む、あるいは次期大統領としての任期のうちに取り組もうとする基本課題を表明した。同首相は関税同盟をベースにして、現代世界の極の一つになり、ヨーロッパと躍動的な国家連動となる、ユーラシア連合・統一経済圏の創設と発展にも取り組んでいく。プーチン首相のプランは、もしそれが実現すれば、国内外の勢力バランスを大きく変えることになる。

プーチン首相は、10月3日付イズベスチヤ紙に寄稿した論文で初めて、ユーラシア連合の創設と真剣に取り組む考えを発表した。この論文を書く直接の契機になったのは、2012年1月の、ロシア、ベラルーシ、カザフスタン3カ国による統一経済圏の発足だとプーチン首相は語る。この日は、これに参加する3カ国だけでなく「旧ソ連圏のすべての国々にとっても」「歴史的な道標」になると同首相は確信する。プーチン首相の考えでは、新しい連合は、その影響力においてEU(欧州連合)に劣らない勢力になる必要があり、もう一つの「現代世界の極」にならねばならない。ユーラシア連合とソ連とは、明らかに類似性があるが、これはソ連の復活ではない。「すでに過去になったものを修復したりコピーするのは無邪気に過ぎるが、新しい価値、政治、経済を基盤とする緊密な統合は時代の要請だ」。この統合は、決して一元化ではなく、中央への地方の過酷な隷属を意味するのでもない。

逆にユーラシア連合加盟国の間で「管轄権の真の競争」が始まり、その枠内で加盟諸国の政権が、有望な事業家たちを育てるために戦い、そうした事業家が働く最高の条件を作り上げていくだろうと、プーチン首相は書いている。だが連合加盟国にとって、その「競争」と統合がなぜ必要なのか、今はわからない、と政治学者ザツェピロフ氏は言う。

プーチン首相の構想が真剣であることは、誰の目にも明らかだ。ロシアの著名な政治学者パブロフスキー氏は、ユーラシア連合はプーチン首相の大規模かつ野心的な選挙プログラムの基本だと考える。ペスコフ首相報道官もパブロフスキー氏の言葉を裏づけるものだ。ペスコフ報道官はコメルサント紙のインタビューで、統一に向けたプロセスの実証的な動きと、プーチン首相が首相であったこの4年間に行われた莫大な作業量を考慮すれば、ユーラシア連合の創設は、プーチン氏が今後6年間にもっとも優先的に行う仕事の一つになるだろう、と述べた。

すでに長く機能している同盟をベースとして、原則的に新しい、経済的方向性をもつ連合を創設する構想がクレムリンに現れたのは、もう大分前のことだ。プーチン首相の要請により、関税同盟の改革が少し前から始まったが、多くの専門家の意見によれば、この関税同盟はまだ紙の上でしか機能していない。旧ソ連共和国の統合が必ずしも成功していないという例は、決してこれだけではない。たとえば、ロシアとベラルーシは、統一した通貨と国家組織を持つ連合国家の設立に関して、もう20年以上協議している。その間に両国は非難の応酬をくりかえし、4度にわたる通商紛争を行った。ガスをめぐる紛争が2度あり、石油と牛乳をめぐる紛争も各1度あった。ユーラシア連合が「ヨーロッパと躍動的なアジア太平洋地域をつなぐ効果的な靭帯(じんたい)」の役割を順調に果たすためには、当然、ロシア製ガスのヨーロッパへの中継を管理下におくウクライナを連合に引き入れねばならない。しかしウクライナは、関税同盟への加盟よりも、EUとの間に自由貿易地帯を作る方をより願っている。ヨーロッパとヤヌコビッチ政権の間に認められた冷え込みにより、ユーラシア連合への態度の変化が可能になると、政治学者ポリャンニコフ氏は確信する。「旧世界」の役人らがチモシェンコ氏不法迫害に関してウクライナを非難し続ければ、きっとプーチン氏への支援要請があるだろうと、同氏は考えている。

ヨーロッパ連合には決定採択の統一センターがあるべきであり、クレムリンがその役割を自認しているという事実も、新しい連合形成の運命にいくぶん疑問を投げかける。

プーチン首相のねらいが単なる選挙キャンペーンのレトリックではなく、長期戦略である場合は、外交だけでなく国内政治のバランスにも、大きな変化が生じるかもしれない。実際、ユーラシア連合の創設となれば、それは大統領が国際政治にかかりきりになることにほかならず、国内の事業はすべて新首相の双肩にかかってくる。その首相になるのは間違いなくメドベージェフ氏だろう。それによってメドベージェフ氏は、以前に考えていた、ロシアの経済と政治制度のリベラル化・近代化路線を継続することが可能になると、パブロフスキー氏は確信している。