「本格」文学の復活

ロシアの読者は「本格的な」文学に注目するようになった=PhotoXpress撮影

ロシアの読者は「本格的な」文学に注目するようになった=PhotoXpress撮影

2000年代の現代ロシア文学に重要な変化が起きた。大手出版社が「本格的な」文学に注目するようになったことだ。軽い読み物を選り好みせずに読んでいたような人たちは、連続テレビドラマやハリウッド映画にさっさと宗旨変えした。
女性が支えた文学 

 一方、本格的な作品の読者たちは経済危機のなかでさえ文学に忠実であり続けた。主にそれは女性たちで、これも時代の大きな特徴と言える。

 ここ2年間で最も人気のある長編小説の一つは、その名も『女性の時代』だ。著者エレーナ・チジョワは、サンクトペテルブルクで大学教員をしていたが、2009年のロシア・ブッカー賞を受賞して、一躍人気作家となった。

 ロシアでは、男性より女性の方が沢山本を読んでいる。仕事柄よく本を読む学校や大学の教師の多くは女性である。キャリアウーマンにとっても、読書で情報を得て内面世界を豊かにすることは、成功の条件の一つだ。

 女性読者が女流作家を好むのは自然の成り行きで、「女流推理小説の女王たち」、すなわちアレクサンドラ・マリーニナ 
、タチアーナ・ウスチノワ、ダーリア・ドンツォーワは言うまでもなく、ジーナ・ルービナ、リュドミラ・ウリツカヤ、タチアーナ・トルスタヤ、オリガ・スラブニコワ といった女流作家がとても人気がある。

 1990年代の輝かしい発見だったビクトル・ペレービンとウラジーミル・ソローキンも相変わらず好評だ。彼らの新作を読むことは、特定の社会層、知識層に属している証と言える。ロシアでは依然として読書はカッコいいことなのだ。
 

30 歳代作家の台頭 

 もう一つ重要なのは、ザハール・プリレーピン、アレクセイ・イワノフ、ロマン・センチン、ドミートリー・ノビコフといった 30 歳代の強力な作家群の台頭である 

 彼らは主にリアリスティックな手法を用い、伝統的な心理描写、社会問題、ロシアの田舎のテーマなどを避けていない。

 この世代のリーダー、プリレーピンは、小説『サーニキャ』で文学界を虜にした。 
新しい資本主義の掟と「この世の新しい主人」に反旗を翻した若き革命家についての作品だ。その一方で、プリレーピンは洗練された短篇小説を手がけ、旺盛な評論活動も行っている。
 
ロシア文学の新しい波 Who's Who
ロシア文学の新しい波 Who's Who=ドミトリー・ディヴィン


作家による作家の伝記

 さらに注目すべきは、伝記のジャンルへの作家たちの関心の高まりだ。作家によって書かれた作家の伝記が次々に出た。ドミートリー・ブイコフの『ボリス・パステルナーク』、アレクセイ・ワルラーモフの『ミハイル・ブルガーコフ』、等々。これらの伝記が成功したのは、伝記作者がすでに文壇で名をなした作家であり、そのセンスと解釈を読者が信頼できることによる。