ノヴォシビルスクの固体化学・メカノケミストリー研究所は農林業の廃棄物からエネルギーを得るべく、褐炭に匹敵する燃焼温度を備えた植物由来の素材の開発に取り組んでいる。
そのために、一部の成分の含有量を増大させるという方法が取られている。たとえば、リグニン。リグニンは古い本からバニラの香りが立つもとになる主成分だ。ほぼ地上の全ての植物が、リグニンを成分に持っている。
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植物性廃棄物が燃料として、たとえば工業で利用できることは、古くから知られていた。うまく利用すれば、電気代は著しく節減され、熱エネルギーを節約しつつ、同時に廃棄物を再利用できる。
「おが屑、わら、果実の皮や殻、米殻やトウモロコシ殻、材木加工や製紙コンビナートで出る廃棄物など、植物原料の廃棄物には数多くの種類がある。我々の目標は、それらから粉末状の燃料を作ることだ」。同研究所上級研究員で化学修士のアレクセイ・ブィチコフ氏は、ロシアNOWの取材に対し、そう語っている。
研究者らは、薪材のような標準的な燃料の改良を図っている。原料の化学組成を改良し、より高い発熱量をもつ燃料とすることが、その目標だ。
「植物原料はふたつの要素から成る。セルロースと、リグニンだ。セルロースは化学工業やバイオテクノロジーに必要。アルコールやプラスチックなどの原料となる。しかしセルロースは、燃焼温度が低いので、燃料として使うには好ましくない。一方のリグニンは、逆に、必要とされる当ては少ない。リグニンは大抵、紙・パルプ工業で、ごみとして残るが、このリグニンにこそ、褐炭に比肩する高い燃焼温度がある」とブィチコフ氏。
いま研究者らは、いかにしてセルロースの比率を下げ、同時にリグニンの比率を上げるか、その方法を探っている。たとえば、わらや小麦にはリグニンが20%含まれている。もし人工的にリグニンの比率を70%まで増やせれば、燃焼温度は30%上昇する。
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実験により、わら等の植物原料向けの普通のストーブを使うのは非効率的である、ということが分かった。それより、製品を細かい粒子状に砕き、たいまつのようなバーナーでガスのように燃焼させるほうがよい。同研究所の設計局は粉砕用に特別に新機材を開発した。機械的活性化装置(メカニカル・アクティヴェーター)というものだ。
「一口で言えば、粉砕機だ。ただし、そこでは粉砕のみならず、物質の構造の変化ということも行われる。我々の装置では、たとえば、粒子の表面にリグニンを付与することが出来る。つまり、原料がより良く燃えるように、構造を変えるのだ」とブィチコフ氏。
いま学者らにとって重大な課題は、ロシアに存在する全ての植物性廃棄物の化学組成を分析し尽すことだ。研究者らは、そのうちのどれが開発中の技術に最適なのかを判定しようと目論んでいる。
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