ドミトリー・メドベージェフ首相=
アレクサンドル・コロリコフ撮影/ロッシイスカヤ・ガゼタ紙昨年は近年のロシア経済にとって最も困難な年だった。メドベージェフ首相はガイダル経済フォーラムでこのように述べた。ロシア経済はかつて、原油価格の下落、対ロシア経済制裁、世界経済の原則の変化といった、多種多様な課題に、同時に直面したことはなかったという。「このような状況において、従来の対策は機能しなくなり、なじみの管理ツールも効いていない」とメドベージェフ首相。ただし、ロシア経済だけでなく、世界経済も困難な状況にあり、問題は資源の生産者だけでなく、消費者にもあると説明した。具体的には、市場への原油供給が需要をはるかに超えており、また、中東の政治情勢はすでに、原油価格の水準に以前ほど影響をおよぼしていない。
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昨年、世界経済のルールの多くが変わったという。「国際通貨基金(IMF)がウクライナに対して行ったように、既存のルールが修正され、書き換えられている」とメドベージェフ首相。IMFはウクライナの対ロシア債務のデフォルト危機にもかかわらず、ウクライナ経済への融資の継続を許可した。「ロシアに対する経済制裁は世界貿易機関(WTO)の規定を台無しにするものであり、また一国の決定が、いかなる間を置くこともなく、瞬時に、すべての他の国に反映される」とメドベージェフ首相。このような状況で、ロシアの経済成長の源泉が弱まったという。
ロシアの経済危機の主な影響の一つとして、国民の収入の下落をあげた。「結果的に中間層が苦しんだ。これが昨年の一番の痛手だったのではないか。ここ15年は貧困対策で成果をあげていたから。時に構造改革という痛みを伴いながら、石油の超過利潤を使い、年金受給額を引き上げ、病院を建設してきた」とメドベージェフ首相。このような政策により、福祉は経済近代化を追い抜き、貧困規模は2分の1に縮小していたという。
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ロシアの経済状況は楽ではないが、調整可能だという。「ルーブルからの逃避は起こらなかったし、銀行分野は安定的に動いており、融資活動も徐々に拡大してきている」とメドベージェフ首相。とはいえ、原油価格が今後も下落を続けた場合、ロシア政府は年間の国家予算の配分を変えなければならなくなるという。「『収入の範囲内で生活しなければならない』という政策の基本原則は変わらない」とメドベージェフ首相。原油価格の下落に関連したルーブル安は、ロシア企業のコストも下げた。
「ロシアの製鉄会社はすでに、世界有数の原価指標の低さで上位に位置している。また、農業も確固たる成長を示している」とメドベージェフ首相。ロシア経済はその磐石さを示したが、主なポイントはここではなく、ロシアが石油・ガス収入の大量流入なくして持続できていることである。このような状況で、WTOの原則にもとづいた、欧州連合(EU)との貿易協定の改善、他の国や連合との新たな貿易協定の締結への用意がロシアにはあるという。「これまで幾度となく述べているように、制裁は過去のものとなると確信しているが、それには互いに歩み寄ることが必要である」とメドベージェフ首相。
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