ロシアは「ビジネス環境の現状」の総合ランキングで11ポイント上げ、51位に浮上した。1年で5つの経済改革を実施したことが、その理由。特に、「不動産登記」の簡易さで世界第8位に、また「契約執行」の確実さで世界第5位になっている。
「この格付けは外国人投資家向けのガイドとなり続けている」と、調査員の一人であるヴァレンチナ・サルタネ氏は、ロシアの経済紙「ヴェドモスチ」の取材に対し、話した。
「ビジネス環境の現状」はロシア政府にとって、一種の重要経営指標(KPI)になっている。ウラジーミル・プーチン大統領は2012年5月、この格付けで国を2015年に50位まで、2018年に20位まで上げる課題を課した。今回の格付けで、課題がほぼ実施されていることがうかがえる。
2016年版では5部門に新たな基準が加わっており、4部門でロシアは高い点数を獲得している。例えば、「電力事情」には、電力供給の信頼性、料金の透明性という新たな指標が加わっている。
「我々は電力供給の停止の頻度および停電の時間を測定している。また、モニタリング・システムもある」と、サルタネ氏は以前、評価方法の変更について説明していた。これらの指標でロシアは最高の8点を獲得した。電力網への接続手順が簡易化される速度において、ロシアは記録的な114ポイント上昇した。同様の理由で、「建設許可取得」部門でも37ポイント上昇している。建設自体の質という新たな指標で、ロシアは15点中14点を獲得した。
各国で起こっているプロセスを格付けにできるだけ反映できるよう、評価方法には毎年変更があると、世界銀行モスクワ事務所窓口部はロシアNOWに説明した。例えば、昨年、人口が1億人以上いる11ヶ国の評価に、2番目の都市のデータが加えられた。ロシアでは、サンクトペテルブルクが加わり、モスクワとの2都市評価になっている。
戦略構想局のアンドレイ・ニキチン理事によると、評価方法の変更だけがロシアの順位上昇の理由ではないという。「評価方法だけで格付けの順位が上下するのであれば、どの項目でも同じように変わるはず」とロシアNOWに話した。
ロシア経済の最も弱い部分は、調査員によると、輸出入書類手続きを含む、 「貿易」である。この部門では155位から170位までさがった。「貿易はロシアが集中して取り組み続けなければならない部門の一つ。刷新が活発に行われているロシア連邦税関庁だけでなく、協調的努力が必要になる」と、世界銀行モスクワ事務所プログラム責任者のシルヴィィ・ボスートロ氏は話す。
サルタネ氏の説明によると、貿易の評価方法は大きく変わっていない。貨物の海運だけでなく、鉄道輸送および航空輸送も調査されるようになった程度である。電子システムの利用状況、国境に置ける貨物の保税期間、事務処理の料金など、通関手続きの質も評価対象となった。
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