12月半ば、国際取引での原油価格は(ロシアの銘柄URALSもこれと連動している)、過去数年間の最低価格の記録を数度にわたり更新し、1バレル当たり38,5ドル以下に下がった。主な原因は、供給がだぶついていることと、OPECが減産を見送ったことだ。
アントン・シルアノフ・ロシア財務相の推測では、原油の需要と価格は、来年も下がり続ける。その結果、原油価格が30ドルを切る可能性もあるという。その際、来年度の予算は、1バレル当たり50ドルをベースに編成されていることを財務相は想起させた。
「我々は今、予備の行動計画のバリエーションを用意しておかなければならない。つまり、原油価格がさらに下落し続けた場合にどうなるか、ということだ」。シルアノフ財務相は、12月12日にこう強調した。
ロシア中央銀行による、危機に際してのシナリオでも、1バレル当たり40ドル以下の数字は折込済みである。その価格の場合、中銀の予想によると、経済成長率はさらに2~3%下がることになり、投資減少が続く。エリヴィラ・ナビウリナ中銀総裁いわく、「このシナリオの現実性は最近高まっている」
ちなみに、ロシア予算の歳入の50%以上が、石油・ガス関連の収入によるものだ。また、プーチン大統領の指示によれば、来年度の予算の赤字は3%を超えてはならない。ということは、もし原油価格が35ドルまで下がった場合は、来年度予算の赤字を3%以下に抑えるために、ルーブルを1ドル=約94ルーブルまで切り下げなければならないということだ(*つまり、現在のレートよりさらに34%切り下げることになる)――。
以上のような推算が、バンクオブアメリカ・メリルリンチの予測に含まれていると、ロシアのメディア・グループ「RBC」が伝えた。エコノミストらは、原油価格が大きく変動した場合、ルーブル切り下げが歳入確保の主な手段となると考える。
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中銀の予測では、かりに1バレル=50ドルでも、経済はさらに、0,5–1%ほど縮小し続ける。国際通貨基金(IMF)と世界銀行も同様に、1バレル=50–53ドルでも経済縮小という予測を出している。
元ロシア中銀第一副総裁でエコノミストのセルゲイ・アレクサションコ氏は、来年大きな問題の一つになるのが高いインフレ率(11月の時点で15%)と、国民の実質所得の減少だという。
「残念ながら、来年は大した状況の好転は期待できない。連邦予算には、公務員などの賃上げをするだけの金はない。こういう状況では、国民は、車などの耐久消費財や住宅への支出を減らすことになり、それは一層景気の落ち込みに拍車をかける」。アレクサションコ氏はロシアNOWにこう語った。
経済発展省の予想は、これらよりは楽観的だ。アレクセイ・ウリュカエフ経済発展相によると、原油価格が激しく変動する時期はせいぜい6~9箇月。
「原油の需給は、来年半ば頃に、新たなバランスに落ち着く可能性が高い」と経済発展相は、12月9日に、上院での恒例の政府閣僚の答弁で述べた。
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同省の予想では、来年の平均原油価格は1バレル=50ドルだ。これをもとに同省は、来年末に国内総生産(GDP)の成長率は、+0,7%になると予測している。その際、今年の第4四半期は、そうした予想の根拠を与えているとしている。今年、GDPは、9~11月に初めてプラスとなり、0,1-0,2%ほど成長した。
海外の格付け会社も、露経済の新たな落ち込みのリスクは見当たらないとし、FitchとS&Pは、0.5-0.3%の成長を見込んでいる。
「ロシア経済の主なマイナス要因は既に顕在化してしまっている。こういう状況では、たとえさらに何らかの負の要因が出てきたとしても、ビジネスが免疫力を持ち始めるだけだろう」。こう考えるのは、大統領府付属ロシア国民経済アカデミー・金融銀行学部のワシリー・ヤキムキン准教授。
同氏の予想では、来年、比較的好調なのは、食品、化学、薬品、旅行だという。「現在これらの分野では、輸入代替のプロセスが最も進んでいる。だから、来年第一四半期の終わりには、ロシアのGDPは若干の成長を見せると期待できる」。ヤキムキン准教授はこう結んだ。
ロシアの国内総生産(GDP)は来年どうなる?
Fitch +0.5%
S&P +0,3%.
ロシア経済発展省 + 0,7%
OPEC +0.3%
ロシア中央銀行 -2-3%
IMF - 0,6%
世界銀行 -0,6%
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