ロシアは日本への農畜産物の輸出を大きく拡大しようとしている、との決定が、東京で開催された第3回「日露農業対話」で発表された。ロシア連邦農業省広報課が7月26日にこれを伝えた。具体的な輸出拡大計画は今のところ示されていないが、ロシアNOWが取材を行った専門家によれば、ロシアの肉および穀物の生産者は国内市場の需要を満たしており、アジア市場に参入する用意もあるという。
在東京ロシア連邦通商代表部のセルゲイ・エゴロフ部長がロシアNOWに語ったところでは、ルーブル安で輸出価格が低下したロシア産農畜産物に日本が関心を持っているという。「ロシア産の豚肉と鶏肉の原価はかなり安く、日本では高額な飼料が使われている場合がほとんどであるため、かなり有望だと考えている」。こうエゴロフ部長は本紙に述べた。
ロシア最大のフランス系遺伝養豚場「オトラダ・ゲン」のパトリック・ホフマン最高経営責任者(CEO)はこう話す。「ロシア産品はヨーロッパ産品、アメリカ産品、カナダ産品と比べるとかなり競争力があり、今日、非常に成熟したレベルになっているロシアの農畜産の生産性の高まりとともに、競争力も増していく」
「現在、ロシアから日本に輸出されている農産品は少ない。主に、小ロットの脱穀穀物と穀物」と、ロシア政府農業委員会分析グループのイワン・ルバノフ代表は話す。輸出作物の大半はロシア西部と西シベリアで生産されており、東方への輸送コストがかかりすぎることがその理由だ。
ルバノフ代表によると、現在、ロシアの国内市場における畜産物の価格は、外国の3分の2ほどである。だがアジア諸国へのロシア産品の輸出拡大には、ルーブル安だけでなく、国内生産の拡大の勢いも影響しているという。
ロシア産農畜産物へのアジア諸国の関心の高まりは、極東の農業プロジェクト立ち上げを後押しする。「『ルサグロ』社はこの地域への養豚場建設に10億ドル(約1050億円)ほど投じようとしている。一部は日本に輸出される見込み」とルバノフ代表。
ホフマンCEOはこう説明する。「日本、韓国、中国は長年肉を輸入しているため、ロシア産畜産品にとって、自然販売市場。さらに、日本と韓国は中国からの輸出に依存することを恐れている」
2007年以降、日本では、ロシアからの生および熱処理加工された豚肉、牛肉、羊肉、および家禽の肉の輸入禁止措置が講じられている。アフリカ豚コレラの蔓延を受けて、日本は世界の複数の国からの豚肉の輸入を制限している。ロシアも該当国であるため、日本への輸出は行われていないと、ホフマンCEOは説明する。「当オトラダ・ゲン社は、アジア諸国の市場が開かれ次第、肉や養豚用に豚を輸出する準備ができている」
「国際獣疫事務局(OIE)」の最近の獣医学モニタリングで、ロシアにはアフリカ豚コレラがないことが確認されたと、在日ロシア連邦通商代表部は伝えている。
日本の専門家は現在、ロシア産の肉と穀物が規格に適合しているかを調査する準備を進めていると、ロシア農業省は伝えている。同時に、ロシア連邦獣医・植物検疫監督局は、日本への輸出に興味を持っているロシア企業のリストを作成している。
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