Shutter/Legion Media撮影
高価格帯商品のブランド「神戸牛」と日本産霜降り牛肉が、ロシアに供給される。独占流通業者は、ロシアのレストラン・グループ「誠司グループ」の下部組織である「Sミート」社。Sミートは日本政府から、霜降り肉「和牛」と「神戸牛」を輸入するための正式な許可を得た。
輸入量は今のところ、かなり控えめである。Sミートのプロジェクト責任者であるパーヴェル・ロゴジン氏は、ロシアNOWの取材に対し、年末までに年間10トンまで増やす計画であると話した。「当グループには霜降り牛肉の購入に興味を持っているレストランがある。だがこのレベルの合法的な製品はロシアになかった。そのため、我々は密輸品を使用しないように、自分たちで輸入することを決めた」とロゴジン氏。
ロゴジン氏によると、日本産霜降り肉の納入先は、モスクワ、サンクトペテルブルク、ロストフ、その他の都市の予定。エカテリンブルクでも関心が示されているという。「百万人都市は、少しずつ調達していくと思う。このようなレベルの肉はロシアにない」と強調する。
通関および輸送のすべての手続きを遵守しなければならない条件のもとでも、商品価格を上昇させずに抑えることができた。ロゴジン氏によると、価格はロシアに密輸される類似品と同レベルになるという。だが密輸品とは異なり、Sミートの商品には透明な生産流通履歴がある。
日本の牛肉の供給再開には10年以上かかっている。牛海綿状脳症(BSE)に感染した牛が2001年に日本で確認された後、ロシアへの輸入が止められた。比較的最近になってようやく、ロシア連邦獣医療・植物衛生監督庁が兵庫県の2社について、輸入禁止措置を解除し、供給の再開にGOサインを出した。
肉料理レストラン・チェーン「トッロ・グリル」の経営パートナーで料理長のキリル・マルトィネンコ氏は、日本産霜降り牛肉がシェアできるのは市場のほんの一部だと考える。まずは1キログラムあたり100ドルからという価格の高さ。そしてロシア人にとってなじみのない小ささ。
このような肉は高級な日本料理店で使用される可能性があり、そのような店にとっては良いニュースとなるという。しかしながら、モスクワにそのような料理店は多くはない。「中間レベルのレストランに登場する可能性はあるが、ステーキハウスではまず出てこない」とマルトィネンコ氏。また、日本の霜降り牛肉の調理が難しい点も、メニューにのりにくい要因になるという。
日本産牛肉がロシアで復活するタイミングは興味深い。ウクライナ情勢をめぐり、対ロシア制裁を科したアメリカ、EU諸国、カナダ、オーストラリア、ノルウェーなどの国の動物性食品が禁輸措置となる前から、ロシアでは良種の肉や霜降り肉の独自の生産が活発に進められようとしていた。ロシア産は日本産には遠くおよばないが、低価格帯、中価格帯で空いたニッチを占め始めている。「12月以降、当レストランは完全にロシア産牛肉に切り替えている。これで十分だし、品質の点で問題はない。肉の加工の仕方に小さな問題はあるが、それは一時的な困難であり、半年以内には解決できる」とマルトィネンコ氏は述べた。
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