ちょっとしたことだけど、素敵なことだ。モスクワの「赤の広場」からクレムリンのニコリスカヤ塔に近寄ってみよう。すると、門の把手に小さなブロンズのオブジェが見える。巻物を握りしめた手だ。言い伝えによると、皇帝アレクサンドル2世その人がこんなジョークを思いついたという。誰もがモスクワと「握手」できるように、というわけだ。
1870年代に建築家ニコライ・ショーヒンがこのアイデアを実現し、かつては、クレムリンの4つの門すべて――ニコリスキエ門のほか、スパスキエ門、ボロヴィツキエ門、トロイツキエ門――にそうした把手がついていた。しかし、ニコリスキエ門以外のものは、今はない。