サモエドライカ:世界でもっとも古い犬種についての6つの真実

観光・自然
エレオノーラ・ゴールドマン
 サモエドよりも善良な犬など見つけることはできないだろう。サモエドはいつも笑顔を絶やさず、ネコとさえも仲良くすることができる。

 サモエドは数千年もの間、ロシア北方の先住民族の道づれであった原始犬である。そして現在もロシア内外でとても人気がある。というのも、サモエドはもっとも優しく、もっとも人懐こい犬種だからだ。

ひとりでに走るソリ

 この犬種の名前はネネツ人、エネツ人、ガナサン人、そしてウラルやシベリアの他の民族たちの先祖であるサモエド族の名前からきている。「サモエド」という言葉は「サアミの地」であるという説と、「他から離れて」暮らす人々であるという説がある。ちなみに、ときに(学術的な根拠はないが)、サモエド犬の名前は、ソリに繋がれたときに、白い毛が雪の色と溶け合って、まるでソリがひとりでに走っているように見えるからだとも言われる(ロシア語で「サモ」は「自分」で「エド」は「走る」という意)。

 しかし、実際には、真っ白なサモエドは、最近のブリーダーたちによって繁殖されたものである。当初、サモエドは茶色や黒の斑点がついていて、タイガやツンドラのトナカイ飼いの遊牧民の道連れであったネネツライカに似ていた。ある説によれば、昔のサモエド族は氷河期(12000年前)に、北極圏に生息する白い極圏の狼を家畜化することができた。その後、狼は同化し、人間に慣れ、野生らしさを失った。

 現代のサモエドは、19世紀から20世紀にかけてヤマル半島(西シベリア北部)のライカから繁殖された。北極で国際的な探検が行われたときのことである。動物学者のエルンスト・キルバーン・スコットが英国に運んだ最初の3匹が公式な犬種の基となった。スコットは最初のサモエド・クラブを1909年に創設し、そこで犬種の条件が定められた。後に、サモエドはヨーロッパ、ロシア、その他の大陸の家庭にも広まった。すべてはサモエドが驚くほど友好的であるのが理由である。

ベビーシッター

 現在は、犬種を用途別に分けることが多い。たとえば、番犬、狩猟犬、サービス犬、装飾的なものなどである。サモエドはそり犬とされているが、これはサモエドができることのごく一部に過ぎない。その昔、とりわけ極北では、サモエドは文字通りすべての人に必要であった。人々はサモエドをそりにつなぎ、トナカイを追ったり、野生の動物が現れたとき警告するためにツンドラに連れて行った。

 またサモエドは子どもの守り役もできた。サモエド犬は移動式住居で寝泊まりし、子どもたちの近くで、枕のようにして眠った。サモエドを抱きしめると、サモエドは人間が休息をとるのを邪魔しないように、じっとする。サモエドが暴力をふるうことはほとんどないため、番犬には向かない。しかし、ご主人さまに危険を感じたときには、噛み付くことができる。

孤独に耐えられない

 サモエドはとても人懐こく、歴史的に、大人や子ども、他の犬がいる大家族の中で暮らすのに慣れている。サモエドにとって、孤独は最大の恐怖である。そこで、サモエドは家にいることがあまりないような人が飼う犬には適さない。ハスキーと同様、サモエドも家の人がいないときには、大きな声で吠えることがある。さらに、サモエドを見ると、いつも笑顔を絶やさないように見える。これは口角が少し上に上がっているからだ。

 サモエドは概して、家の中で、犬だけでなく、他の動物とも仲良く暮らすことができる。ネコでさえもである。とりわけ、仔ネコたちはサモエドが大好きで、たいていのことは許す。自分の上で寝ることさえ許すのである(ネコにはそれが必要なのだ)。

頻繁にシャンプーしてはいけない

 サモエドの毛は、密集していて白いが、快適なのは冬だけではない。もちろん、この毛は厳しい酷寒から身を守ってくれる。しかし、実は暑い日に、体温が上がりすぎないよう助けてもくれるのである。

 散歩のときの頭痛のたねは、夏の暑さではなく、泥である。多くの動物と同様、真っ白なサモエドは泥の中をゴロゴロするのが大好きなのである(狩猟犬としての本能であり、自分の匂いを消すため)。そしてサモエド犬はしょっちゅうシャンプーしてはいけない。水が皮膚の保護層を洗い流してしまい、病気がちになるからだ。ブリーダーたちは、1年に2回以上洗ってはいけないとしている。素晴らしいのは、低アレルギー性であること!

 サモエドは、もちろん、他のふわふわの犬と同じように換毛期があり、毛が抜ける。飼い主たちは、毛の掃除をするよりも、自分の洋服や家具を白くした方がいいと冗談を言うほどである。サモエドは定期的に毛並みを揃えなければならない。ちなみに、サモエドのブリーダーの中には、毛を集めて、毛糸を作る人もいる。この毛で編んだマフラーはとても暖かい。

 しかし、毛がたくさんあるサモエドだが、匂いはほとんどなく、アレルギーも引き起こさない。毛の多い動物としてはかなり珍しい。

運動を必要とする

 サモエドの健康は、すべての原始犬と同様、素晴らしいものである。サモエドは12〜14年生き、老犬になるまでアクティブである。しかし、サモエドは運動をしなければならないということを忘れてはならない。サモエド犬は1日に2〜3時間は散歩する必要がある。もしあなたが都市部に住んでいるなら、1カ月に数回は、1日、自然のある場所に連れて行ったほうがよい。

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