確かにロシアには、栄光ある建築、素晴らしい食事、心豊かな人々などいいことがたくさんある。しかし、この国にはネガティヴなこともちろんある。ロシア滞在中の外国人に悲しかったことについて訊いてみた。
1.行先表示の壁
ロシア・ビヨンドのファンであるクリスタ・ヨナさんはフェイスブックにこう投稿している。「エルミタージュ美術館に行くと、ロシア人はちゃんと行列に並ばない。それで、列につくように言おうとしたのだけど、彼らは英語が解らない!」悲しいことに、ロシアでは学校や大学で外国語の授業があるが、多くのロシア人は外国語でコミュニケーションを取ることが出来ない。
一方で、ロシア語を修得するのはとても難しい。文字はキリル文字だし、文法も英語とはまったく違っている。道路の表示やストップサインもロシア語でしか書かれていない。(モスクワでも、新しく作られた標識にようやく、「英語訳」が載るようになった程度)
「キリル文字が分からないのなら、団体旅行をお勧めしている。そうすれば道に迷うこともない」。そうフェイスブックに投稿しているのはエイドリアン・ハリスさん。道に迷わないためには、オンライン翻訳機と行きたい場所までの地図を活用するか、少しでもロシア語を勉強することだ。
2.パーソナルスペースって何?
カナダ出身のソフィー・ダウストさんはサンクトペテルブルクの中心街でバスに乗ったときのことが「ちょっとしたトラウマ」となっている。バスは混んでいて、バスに乗ろうとする人が押し合いへし合いしていた。並んでバスを待つなんて考えもしていない。「そんな状況の中、バスの中をうまくすり抜けて移動する車掌の能力には感心した」と彼女は思い返す。
しかしとにかく、滞在中に何回も自分のパーソナルスペースが侵害されることを覚悟しなくてはならない。
「イワシのように詰め込まれた」状況を避ける方法はあるのだろうか?それはできるだけ礼儀正しく振る舞い、そしてあまり気にしないことだ。とにかく「個人的な」ものなど何もないということを覚えておこう。
3.トイレに行くべきか、行かぬべきか?
公共交通機関のトイレは外国人がもっともがっかりするものの一つだ。まず、なかなか見つけることが出来ない。モスクワの地下鉄でさえ、主要乗換駅に2-3ケ所あるだけで、しかも、トロイカカードを持ってないと使えない。通勤電車にはトイレはついていないか、ついていても使用不能か、使えたとしても・・・、とても汚い。もっとがっかりさせることは、列車でロシアを横断しているときにこんな問題に直面することである。列車のチケットを取るときにはよく注意しよう。旧式の列車に乗ってしまうと、旅行のどんな良い思い出もぶち壊されてしまう。
このような事態を避けるにはどうすればよいのか?列車を選ぶときに、よく使われるネットでの口コミ情報を参考にすることと、公共交通機関のトイレに期待しないことだ。
4.予想しにくい天気
ハリウッド映画の中で描かれているロシアは、ほとんどが長い冬、雪、極寒の国になる。しかし、ロシアでは冬用のコートや毛糸の帽子をかぶらなければならないと思っているなら、がっかりすることになる。ロシアの天候は一つの地方の中でさえ多様である。そう、2019年6月のモスクワは猛暑で、連日30℃を超えたが、昨年の6月は涼しく、平均気温は20℃ほどだった。また冬にも思いがけず暖かい日がある。そうでなければ寒いし、誰にも分からない。だから、ロシア人はどんな気候になっても大丈夫なように、1年を通して、あらゆる季節の服を用意している。
とんちんかんな格好をしない為にはどうすればいいのか?まずはそんな事態にならないように祈ること。それにロシアではいつも最低限の暖かいものを手に入れることが出来るし、夏にはそれを脱げばいいだけのことである。
5.ほとんどのランドマークでの行列
赤の広場にあるもっとも知られたソ連革命家の墓所を見逃すことは出来ない。(誓ってもいいが、レーニン廟はモスクワに来たら最初に訪れるべきランドマークの一つであろう!)。観光客は一列の長い行列につき、すばやく動かなければならない。そして、中に入ると、そこで過ごす時間は1分にも満たない。
もっと長い行列がお好みなら、有名な美術館や博物館に行くとよい。そう、サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館やモスクワのクレムリンにあるダイヤモンド庫などだ。
このような苦痛から逃れる方法はあるのか?ネットで予め入場券を購入すれば、とんでもない行列に並ぶことは避けられる。(しかし、レーニン廟は例外である。真のボリシェヴィキ方式のためか、ここでは誰でも平等に行列につかなくてはならない。入場無料なのだから)。