ロシアの深い湖10選

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これらの場所は大きさが衝撃的だが、驚きの伝説にも彩られている。

1. バイカル湖

最深部:1642㍍

平均水深:744㍍

 この湖がユネスコ世界遺産に登録されているのは故なきことではない。バイカル湖はほとんどすべての項目で記録保持者だ。地球で最も深い湖であり、淡水湖としては貯水量も世界一だ。

 湖の総面積は31,722平方㌖で、これは例えばベルギーやクリミア半島の面積よりも広い。メリーランド州とほぼ同じ大きさである。バイカル湖の動植物相もまた独特である。ここでしか見られない種類の動物、甲殻類、植物も多い。

 バイカル湖はシベリア東部、イルクーツク州とブリヤート共和国との境界にある。

2. カスピ海 

最深部:1025㍍

平均水深:208㍍(北部は浅く、水深は4~25㍍)

 カスピ海は海と呼ばれているが、本質的には湖である。湖として地球上で最大の面積を誇る(371,000平方㌖、つまりバイカル湖が10個、モンタナ州がほとんどすべて、日本がほぼすっぽり入る)。

 カスピ海には流出河川が一つもなく、世界の大洋とつながりを持たない。一方で流入河川はヴォルガ川、ウラル川、テレク川などいくつかある。淡水が流れ込むため、カスピ海の水は汽水であり、海ほど塩分濃度が高くない(参考までに、大西洋の平均塩分濃度は35㌫だが、カスピ海では12㌫である)。

 カスピ海には世界で最も多くのチョウザメ科の魚が暮らしている。世界のキャビアの実に9割がこの湖で採れる。

 カスピ海はロシア南部に位置し、カザフスタン、イラン、トルクメニスタン、アゼルバイジャンに跨っている。 

3. ハンタイスコエ湖

最深部:420㍍

平均水深:74㍍

 これは比較的小さな湖で、面積は822平方㌖しかない。ロシア国内でもあまり知られていない。この湖はシベリア北部、クラスノヤルスク地方のタイミル半島にある。島があるのは北極圏の永久凍土地域だ。ハンタイスコエ湖の湖水の半分は雪解け水である。数本の川が流入している。

 湖はクラスノヤルスク地方の主要河川であるエニセイ川とつながっている。その支流はマーロエ・ハンタイスコエ湖から始まり、そこから連絡支流でハンタイスコエ湖本体に達する。動物相は乏しく、アクセスが難しいため水質の研究もあまり進んでいない。ヘリコプターでしか行くことができず、湖への探検隊も数えるほどしか組織されていない。主に水文地質学者がここへ赴き、湖のある、テクトニクスと氷河によって形成された構造盆地を調査している。 

4. コリツェヴォエ湖

最深部:369㍍ 

平均水深:不明

 この湖はクリル列島の無人島、オネコタン島にある。ロシアのサハリン州に属する。本質的にこれは休火山の火口である。そのため綺麗な円形をしており、「コリツェヴォエ」(環状)と名付けられている。クレニツィン山の円錐が湖にそびえる様は実に美しい。

 ちなみに湖の深さが分かったのは2000年代のことで、火山学者と地質学者から成るクリル大探検隊が計測に成功した。

5. テレツコエ湖

最深部:325㍍ 

平均水深:174㍍

 ユネスコ世界遺産に登録されているもう一つの湖、独特の小バイカル湖、それがアルタイ山脈にあるテレツコエ湖だ。アルタイで観光客に最も人気の場所の一つと考えられている。湖にはたくさんの島、湾、洞窟、滝があり、湖岸は絵のように美しい針葉樹林(ヒマラヤスギ、モミ、トウヒ、マツ)で覆われている。

 湖の面積は223平方㌖だ。流出河川はビヤ川だが、これはオビ川(カラ海に注ぎ込む)の右側の支流である。流入河川は非常に多い。最大のものはチュリシュマン川で、湖水の大半を供給している。

6. クリリスコエ湖 

最深部:316㍍

平均水深:195㍍

 極東のカムチャッカにある岩がちな湖は、半島に無数に存在する火山の一つの火口に形成された。全域が自然保護区で、ユネスコによって保全されている。湖はオホーツク海に注ぎ込むオジェールナヤ川の水源になっている。

 湖岸には鉱泉がある。魚を捕まえに来るヒグマを見ることもできる。ちなみにクリリスコエ湖ではベニザケが大規模な産卵を行う。

7. ラマ湖

最深部:208㍍

平均水深:不明

 これはテクトニクスによってできた(つまり太古の昔にプレートがずれでできた)湖であり、ノリリスク市から70キロメートルの北極圏に位置する。ユニークでアクセス困難なプトラナ大地にある。

 ラマ湖の深さは完全に突き止められているわけではない。百科事典『ロシアの水域』に記されているように、あるデータでは208㍍、別のデータでは300㍍、ところによっては600㍍に達すると言われている(もし事実ならば、この湖はバイカル湖とカスピ海に次いでロシアで3番目に深い湖ということになる)。透明度は7㍍に達する。ただし泳ぐことはできないだろう。7月でも水温は摂氏6~7度を超えない。

8. ゴルボエ湖

最深部:279㍍

平均水深:不明

 石灰岩層の崩壊で、同時に5つの「カルスト湖」ができた。その中で最も美しく最も青いのが、ニージネエ・ゴルボエ湖だ。

 この興味深い自然の産物があるのは、コーカサス山脈のカバルダ・バルカル共和国だ。ニージネエ・ゴルボエ湖は現地のバルカル語ではツェリク・キョリと呼ばれている。「腐った湖」と訳されるが、湖水に含まれる硫化水素が発する不快な匂いがその名の由来だ。硫化水素によって湖水は黄色がかった青色をしており、魚が生息することはできない。

 湖の水深とすべての水中洞窟が完全に調査されたわけではない。湖の歴史は伝説に満ちている。打ち倒されたドラゴンも、アレクサンドロス大王の軍隊も、ティムールの騎馬隊も、皆この湖に沈んだとされている。

9. ラドガ湖

最深部:230㍍

平均水深:51㍍

 ロシアでバイカル湖に次ぐ淡水量を誇る湖だ(面積は17,870平方㌖)。ラドガ湖には、ロシアのカレリア共和国とアルハンゲリスク州が面している。湖からはペテルブルクで最も有名なネヴァ川が流れ出ており、ラドガ湖の水はこの川に乗ってフィンランド湾に注ぎ込む。

 ラドガ湖には修道院や僧院、教会のある祈りの場として有名なヴァラーム列島がある。伝承によれば、これらの場所はイエス・キリストの使徒の一人であるアンドレによって祝福されたという。

 ラドガ湖は20世紀に「鉄道」になった。凍った湖面が包囲されたレニングラードと陸地とをつなぎ、住民の避難が可能となった。

10. ノヨン・ホリ湖

最深部:225㍍

平均水深:不明

 ノヨン・ホリは氷河によって形成された湖で、サヤン山脈の窪み、トジャ構造盆地に無数にある湖の一つだ。

 湖はシャーマンと古いツンドラで有名なトゥヴァ共和国にある。ノヨンというのはトゥヴァの言葉で公爵を意味するため、ノヨン・ホリは湖公と訳せる。

 現地住民の間では、ここにノヨン・ホリ版の「ネッシー」がいるという伝説が広まっていた。黒い鯨のようなもので、岸辺に跡を残していく。そんなことが可能なのか我々にも分からないが、伝説は伝説だ。