マラソンを走ることは相当の肉体的能力が求められる大きなチャレンジであるが、未知の場所を体験し、楽しい時間を過ごすチャンスでもある。世界を見ても、多くのマラソンはスポーツ大会であるだけでなく、文化的なイベントでもある。例を取れば、2万段の堡塁を走る、中国の万里の長城マラソンがある。また、参加者がワイン農園で立ち止まり、いろんな種類のワインをテイスティングできるフランスのメドックマラソンもある。
ロシアも例外ではなく、もう何十回もマラソンを経験しているランナーにとっても面白いコースがいくつもある。
注意事項:マラソンに参加する前に、マラソンができる状態かどうか医者に確認すること(プロのマラソン走者でない場合)。医者に相談し、必要な「装備」を整え、参加登録を忘れずに。
1.バイカル湖エネルギーマラソン
ウェブサイト:http://baikalmarathon.com/en/
場所:バイカル湖(南岸)、モスクワ東方4,300キロメートル
開催時期:9月
2017年に始まったまだとても新しいマラソンであるが、非常に絵になる大会である。世界でもっとも透明な水をたたえるバイカル湖の南岸に沿って走るのを想像してみてほしい。コースはなだらかにアップダウンし、素晴らしい風景を見せてくれる。スルジャンカ市をスタート地点とし、バイカルスクの町がゴール地点となる。初秋にマラソンが行われるのは、この時季のバイカル地方は暑すぎることもなく、寒すぎることもない上に、観光客も少ない時であるからである。
もっと雪や寒さを求めるなら、3月にバイカル湖アイスマラソン(リンクはロシア語)がある。これは凍り付いたバイカル湖を西岸から東岸に走り抜けるマラソン大会である。この大会に参加するには、もちろん暖かい服装を用意することを忘れないで。
2.エルトン・ヴォルガバス・ウルトラトレイル
ウェブサイト:http://elton-ultra-trail.com/en/
場所:ヴォルゴグラード州、モスクワの南東900キロメートル
開催時期:5月-6月
どこか異星に来たような奇妙な景色に興味あるなら、この大会に参加してみてはどうだろう。エルトン湖はカザフスタンとの国境に近いヴォルゴグラード州にある塩湖で、その湖岸は砂漠地帯のステップで覆われている。その風景は厳しいが、独特の美しさがある。そこでは、雲一つない空の下で孤独感を感じさせる。それはランナーが自分への疑念を払しょくするのに良いのかもしれない。
セミマラソンであるガガーリン・レースと、完走するのに28時間かかるロスト・レイク・ウルトラトレイル(205キロメートル)があり、距離を選ぶことができる。
3.トランスウラル
ウェブサイト:https://transural-run.com/en
場所:ウラル山脈中部、モスクワ東方1,700キロメートル
開催時期:7月–8月
トランスウラル・マラソンはとても大規模な大会である。2日以上にまたがるこのウルトラマラソンは2014年-2017年の4年間に渡って開催された。参加者は、ウラル山脈を南から北まで走り抜ける(毎年区間を分けてウルトラマラソンが行われた)。その後、トランスウラル2.0となり、年次開催となった。たとえば、2019年は中部ウラルを4日間かけて140キロメートルを走破する。岩だらけの山々から天国のようなアルプス地方のような牧草地まで高度や環境が変化するので準備が必要である。
4.アルタイ・ウルトラトレイル
ウェブサイト:http://altai-trail.ru/eng/
場所:アルタイ共和国、モスクワ東方3,800キロメートル
開催時期:6月-7月
アルタイ・ウルトラトレイルは、「ロシアでもっとも厳しいコース」とされており、スタート地点からもっとも近い町は450キロメートルも離れており、コースは文明にさらされた土地を通ることはない」と、この大会の公式ホームページには記されている。それはその通りで、アルタイ共和国は西シベリア地方の辺鄙なところにあり、人跡未踏の山々と森林で知られている。ここのマラソン・コースは距離が18キロメートルから110キロメートルのクロスカントリー・コースであり、いくつかの湖やシベリア最高峰ベルーハ山があるベルーハ自然公園を通る。このコースで感動しなければ、他でするところはないだろう。
5.黄金の環 ウルトラ・トレイル (GRUT)
ウェブサイト:https://goldenultra.ru/en
場所:スーズダリ、モスクワの北東257キロメートル
開催時期:7月
アルタイやウラルの「ロシア深部」にまでとても行く時間がないという人は、モスクワから数時間の場所に良いマラソン・コースがある。GRUTは森林や村々、17-18世紀のロシアの素晴らしい木造建築物を通り抜ける10キロメートルから100キロメートルのコースを用意している。驚くことではないが、この大会はロシアで最も参加者の多い大会である。スポーツと自然を愛でること、歴史に触れあうことを同時に楽しみたくないなんて人がいるだろうか?