サーフィンや他のアクティヴィティで一日を過ごした後に、疲れた筋肉を熱い温泉でリラックスさせてあげることは、まさに医師(あるいは理学療法士)もお薦めしていることだ。パラトゥンカは、山あいに隠れた真のオアシスだ。パラトゥンカという名は、近くにある川と村(ペトロパヴロフスク・カムチャツキーから約70kmのところにある)からつけられたものだ。たくさんのゲストハウスや観光案内所がこの地域周辺に点在しており、安いもの(入浴料5ドル)から、非常に高いもの(本当に最高級の場所は一日約6千ドル)までと幅広い。しかし、どの施設も暑いお湯がたっぷりの浴場があるので、たとえ3mの積雪のときでも、ここへ来れば年中いつでもリラックスできる!
パラトゥンカのお湯は地下で自然と温められたもので、これがこの温泉の秘密だ。源泉の湯は90℃で出ているが、浴場に着く頃にはだいたい36~40℃くらいになるため、煮えたぎってしまうんじゃないかというご心配は無用。
ペトロパヴロフスク・カムチャツキーに近いという理由でラフティングとフィッシュイングの人気スポットのひとつとなっているのはブィストラヤ川だ。ラフティング場へ向かう道は、ほぼずっと驚くほどのいい道で、所要時間は2時間から2時間半ほど。ラフティング場に到着すると、ライフジャケット、お尻の下に敷くパッド、釣竿が渡される。安全についての説明を聞いたら、ボートに乗り込み、ツアー開始!
名前に反して、ブィストラヤ川(「ブィストラヤ」はロシア語で「早い」という意味)は、実際はまったく早くも荒くもない。ラフティングをしたり、森でキャンプをしたり、ヘリコプターで山を降りたりするいろいろなアクティヴィティ込みの数日間のツアーに参加して、そのうちの1日で行きたいというのなら、この川は初心者にはうってつけだ。入門ツアーの所要時間は約3,5時間。ガイドがゆっくりとボートを漕ぎながらゆっくりと川を下っていってくれるので、いくつかのフィッシングスポットで止まり、雄大な山と森の景色を見ることができる。
ベースに戻ると、心のこもったウハー(ロシアの伝統的な魚スープ)が待っていて、その日に釣れた魚がメインディッシュになる。もしも魚卵入りの魚が欲しければ、キッチンスタッフに数百ルーブル払って「ピャチミヌートカ」(五分仕立て)というイクラ料理を作ってもらおう。これは新鮮なイクラ料理のひとつで、濃い塩水にイクラを5分間浸し、冷やしてから出してくれる。
街に戻る途中にはルージャ(水たまり)でストップしてしまうこともある。インフラやアメニティの面ではパラトゥンカほど洗練されてはいないが、一日をすっかりリラックスして終えることのできる方法だ。
アバチャ火山(標高2,751m)は、カムチャッカで最も活発な火山のひとつで、地元の人たちからはよく「ホーム・ボルケーノ」と呼ばれる。ツアーは、標高890mのところにあるカムチャチントゥル・ベースキャンプ(ペトロパヴロフスク・カムチャツキーから約50km)から出発する。地元の人たちは、登りはそれほど大変じゃないと言うが、実際には多くの人たちが、かなり過酷だと感じている――肉体的にも精神的にも。その上、非常に時間もかかる。すべて登って降りてくるのに9時間、あるいはそれ以上かかることも多い。健康状態や休憩・軽食・写真撮影の回数次第ではもっと時間がかかることもある。
景色は息を呑むほどに美しいものの、カムチャッカの場合は常に、かなり天気次第だ。標高が非常に高いために雲の覆いがかなり低くなることも多く、曇りの日ならば全行程が中止となることもある。火山の一部が雲に覆われ、視界が遮られるからだ。
ヒントをひとつ:グループで行く場合は、誰かがトレッキングが困難になったときに備えて、ガイドを2人お願いしておこう。
最近はスタンドアップパドル・サーフィンが大人気で、カムチャッカでも流行っている。SUPカムチャッカの人たちが、アヴァチャ湾内外とその周辺のさまざまなツアーを企画している。
夕方に船の墓地を回るツアーを選んで、1970年代、1980年代に棄てられた、半ば沈没した軍艦の不気味でほとんど黙示録的な光景を楽しむこともできる。干潮時には、錆びついた古い桟橋の上で凍えながらアザラシを見ることもできる。
あるいは、午前9時からの「チョルトフ・パーレツ」(悪魔の指)へのツアーに出かけてみよう。象徴的な「三人兄弟」(アバチャ湾内の有名な岩)の近くで、印象的な岩崖に挟まれた小さなビーチ(ここは他の方法ではたどり着けないスポットだ)でのパドルサーフィンと朝食もこのツアーには含まれている。4時間のSUPツアーの間に、アザラシやトドにも会えるだろう。
信じられないほどに美しいアヴァチャ湾は、ロシアの東の玄関であり、カムチャッカの最も美しいシンボルのひとつで、リオデジャネイロのグアナバラ湾に次ぐ世界第二の大きさを持つ。
ルースカヤ湾への日帰り旅行は、この湾を抜けて、カムチャッカの絵葉書に多く用いられている岩石層「三人兄弟」を通る。伝説によると、コリャーク人の3兄弟が嵐からこの土地を守ろうとした。嵐は数日間続き、兄弟たちは凍え切って岩の像に姿を変えてしまい、今日もなお港と街を波から守っているのだという。 「三人兄弟」は、ペトロパヴロフスク・カムチャツキーにとって、モスワにとってのクレムリン、あるいはニューヨークにとっての自由の女神のようなものだ。
ルースカヤ湾への往復、周遊のボートツアーは約9時間から10時間かかる。この間に、印象的な岩崖を目にし、スタリチコフ島に棲息する多くの鳥たちを見ることができる(この島には10種類の集団営巣性の海鳥たちのコロニーが40箇所以上もある)。また、手作りの魚スープやカムチャツ蟹、そのほか地元の海鮮料理に舌鼓を打ち、釣りをし、自然生息地で暮らすトドを見ることもできる。運が良ければ、シャチにも会える!
壮大な間欠泉渓谷への旅は、多くの観光客たちにとってはかなり高価なものとなるため、ヘリコプターは使わない場合が多い。そこで、次に最良なのが、ミニ間欠泉渓谷とも呼ばれるダチニエ温泉だ。これはスカリスタヤ山の南東側の麓にあるムトノフスキー火山の麓にあり、ペトロパヴロフスク・カムチャツキーから車で約3〜4時間だ。
到着したら、湯気が立ち、沸騰した泥地のある熱いところまで行くために、急な斜面や峡谷を越えなければならない。アバチャ山を登るのに比べると、このトレッキングはとても楽なものだが、靴や、ひょっとすると服も少し汚れるかもしれないという心づもりは必要だ。
それでも、ここで目にするものは、十分にそれだけの価値があるものだということは間違いない。氷穴、雪を頂いた山々を映し出す鏡のような湖、夏でも溶けることのない背の高い氷河、四方八方から吹き出す湯気、火星を思わせる焦土のような風景…基本的に、あなたが目にするものは、本物の「火と氷の地」だ。水着を忘れないようにしよう。いちばん最後には、熱めのお湯が入った天然のプールに少し浸れるだろうから。これは丸一日がかりのツアーだ。
もちろん私たちは、これらのアクティヴィティを表面的になぞっただけだ。すべてがカムチャッカの類を見ない自然を中心に展開していて、時間とお金があれば、活火山の上空をヘリコプターで飛び、間欠泉渓谷とかクリル湖のような、実際にはアクセス不可能な場所へも行くことができるし、数日間のフィッシングツアーに行ったり、クアッドバイクで地形を探索したり、他にもたくさんのことができる。
そして冬になると、ヘリスキーやスノーモービル、お決まりのスノーボードやスキーなど、まったく別の物語がある。カムチャツカは、スリルを求めている人や、自然と一体になりたいという人たちにとって尽きることのない遊び場だ。
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