ダウンタウンの堤防を歩く
フランスのジャーナリストで探検家でもあるエルワン・ペンセクさんは1年間ニジニ・ノヴゴロドで暮らしたが、その1年は人生において最高のときであったと回想する。「この街は中心地ですらとても静かで、人々はとても親しみやすく、いつでも手助けしてくれる。だから、街を歩いていても道に迷う恐怖というものは必要なかった」。
エルワンさんのお気に入りの場所はヴェルフネ–ヴォルジュスカヤ(ボルガ河上流)の堤防。「ここでは、地平線、果てしなく続く森、そして広大なボルガ河が楽しめる」。堤防から見下ろせば、下方にも別の堤防が見える。堤防まではチカロフ階段を降りればすぐだ。560段あるチカロフ階段はロシアで最長のもので、街の有数のランドマークとなっている。
城壁の内部を見学する
ニジニ・ノヴゴロドの城壁は16世紀に建造された。この要塞は石で出来たネックレスのようにチャソヴァヤ(衛兵)丘の傾斜に伸びている。17世紀初め、ポーランドが侵攻してきたときにニジニ・ノヴゴロドは抵抗のための砦となった。商人クジマ・ミーニンと公爵ドミトリー・ポジャルスキーに率いられた義勇兵はその門から進軍、ポーランド軍を撃退し「動乱時代」の地図上にモスクワ大公国を残した。現在、城壁は博物館になっている。
ドイツ人ジャーナリスト、ペギー・ロースさんのお気に入りは城壁の内部にある「アルセナル」という近代美術館だ。「興味深い展示物が楽しめるのはもちろん、中にあるブックストアでは構成主義や美術、地域の歴史に関する書籍を手に入れる事ができる。そこのカフェでラフコーヒー(モスクワで考案された乳脂とヴァニラシュガーの入ったスチームコーヒー)を飲むことをお忘れなく」。
居心地のよい通りや広場の魂を感じ取る
ニジニ・ノヴゴロドの主要なツーリストセンターは、ロジジェストヴェンスカヤ通りとボリシャヤポクロフスカヤ通りの2カ所にある。現地マネージャーのユリヤ・ペトゥシコワさんは街の小径やロジジェストヴェンスカヤ通りにあるいくつかの広場を探検することをオススメする。「雰囲気があってちょっと変わったところです。これらの通りは150年もの間変わっておらず、建物も同じように手付かずで残されています。その無秩序さが美しく、芸術的なものや面白いカフェがあちこちに隠れています」。ペトゥシコワさんはまた、有名なストリートアーティストのニキータ・ノメルズが描いた世界的に有名な水道塔にいたる地下鉄橋の方向にチェルニゴフスカヤ通りを歩いてみてはとアドヴァイスする。
ケーブルカーに乗る
ここには、地上にあるものではヨーロッパ最長のケーブルカーがあり、ボールという町を見るために飛び乗ってみるのもいい。そこには新たにできたパックスローマ公園があり、ローマ時代のものが再現されている。そこで開かれるさまざまなフェスティヴァルやイベントにも参加してみるのもいいだろう。
写真美術館に行く
エルワンさんとペギーさんがもう一つオススメするのは、ピスクノワ通りにあるロシア写真美術館。ペギーさんは「1階には歴史的な展示物があります。皇帝家族の写真や19世紀の街並み、そしてもちろんソ連のイデオロギー的な作品などです。また2階には地元芸術家の作品が展示されています。この美術館は実際かなりの広さがあります」と教えてくれた。
子連れの旅行者、あるいは科学に興味があると言う方には、「駅のそばにあるクヴァルキ科学博物館とプラネタリウムがいいでしょう」とエルワンさんはアドヴァイスしてくれた。
地下鉄に乗る
ロシアで地下鉄が走っているのは7都市のみである。ニジニ・ノヴゴロドの地下鉄はロシアで最も浅いところを走っており、最深部で地下20㍍もある。最初の区間は1985年に開通し、いまでは2路線、合計14駅ある。ツーリストセンターのユリヤさんは言う。「わたしの一番好きな駅は赤ラインにあるドヴィガチェリ・レボリューツィー(革命のエンジン)駅です。地元っ子はみなその駅がとくに気に入っています。ディーゼルエンジン工場に由来する駅名がとても印象的なのがその理由のようです」。
ロシアで最高のランチをとる
朝食にはブリヌィ(パンケーキ)とスィルニキ(焼いたチーズケーキ)、ブランチにはヴァトルーシキ(カッテージチーズのパン)、ランチには伝統的なキャベツのシー(スープ)、またもっと別のものを試したいならディナーにビーフストロガノフとクレビャーカはいかが?街にはおいしい伝統的なロシア料理を出す店がたくさんある。その多くはロジジェストヴェンスカヤ通りとボリシャヤ・ポクロフスカヤ通りに位置している。