ナディム市祭り
セルゲイ・ルサノフ/ロシア通信コパルヘンは腐った鹿肉。チュクチ半島では珍味とされる。日本のフグ同様、コパルヘンは「死の危険を伴う」珍味である。調理の段階で死体から毒が出るため、食べると死亡する可能性があるためだ。チュクチ人らはコパルヘン中毒で死ぬことはないという。小さい時から食べているため、毒に対する耐性がついているからだ。
コパルヘンのレシピは狩猟や漁獲がうまくいかなかったときに考えられたものである。狩猟者や漁師たちは飢え死にしないよう先達たちが以前に用意してくれたコパルヘンを掘り起こしてきたのである。鹿が埋められている場所には色とりどりの布で印がされている。そこでコパルヘンを掘り出したときには新しいものを用意して埋めておくという習慣が今も残されている。将来のためにというわけだ。
コパルヘンの分配=アンスガー・ヴォク/Wikipedia
大型の丈夫そうな鹿を捕まえる。鹿の腸を空にするため、数日間、食べ物を与えないでおく。鹿は表皮をきれいに残した状態で窒息させる。死骸を沼に沈め、その上を泥炭(野生の動物たちがその臭いを嫌うため)や小枝で覆い、石を乗せる。鹿の肉は圧力をかけることで発酵され、数ヶ月後には掘り起こして食べることができる。
クィルィキルはカムチャツカ北部にアボリジニの伝統料理で、魚(一般的にはサーモン)と季節のベリーにオイルをかけたものである。ジャガイモを加えることもある。クィルィキルはカムチャツカで必ず試すべき料理である。
獲れたての新鮮なサーモンを茹で、粗熱をとり、骨を取り除いたら細かくする。熟したベリーを潰したものを魚の上に乗せる。ベリーは季節によってクラウドベリー(野生のキイチゴの一種)やコケモモが使われる。仕上げにシールオイル(アザラシの油)をかける。
ブラッドソーセージ(血のソーセージ)はヤクート(サハ)で人気の食べ物。ハアンの主な原料は牛または仔馬の血。ソーセージは凍った状態で保存しておき、テーブルに出す直前に茹でる。
新鮮な血にお酢を少々加え、さらに牛の血なら茹でて細かくしたレバーを、仔馬の血なら牛乳を加えて混ぜる。塩、コショウで味つけし、炒めた玉ねぎを加える。
腸を裏返し、お湯で洗浄したあと乾燥させ、また表返して、ケーシングを用意する。片方を結び、もう片方から先ほど用意した血を注ぐ。ソーセージは半加工品の状態のまま冷凍庫で保存する。
冷凍庫から出したら、少し解凍してから茹でる。大きめの鍋に水を入れ、沸騰する手前まで温め、塩少々を加える。ソーセージを鍋に入れ、弱火にかけ、血に均等に火が通るようときどきひっくり返しながら茹でる。
ユコラは極東におけるウスリーシロザケ、サケ、シロザケ、カラフトマスなどの干し魚の名称。長期間保存できることから漁師や狩猟者たちの間で人気がある。
ユコラ =ヴィッレ・メッチネン/Wikipedia
作り方はいたってシンプル。ウロコを落とし、内臓を取り除き、頭を落とす。背骨を中心に、尾を残して半分に切り、背骨と大きな骨を取り除く。
処理した魚は塩もコショウも香辛料も加えず、そのまま風通しのよい日陰の竿に吊り下げる。
極東の住民には一般的であるものの、ロシア西部ではほとんど知られていないククマリアを原材料とするスコブリャンカと呼ばれるこの料理は、沿海地方でもっとも人気の料理の一つである(スコブリャンカは肉や海鮮を細かく切った料理の名称)。ククマリアというのは小さな無脊椎動物で、周りに触手のある口が先端部分についているナマコに似た生物。
極東の伝統料理を専門とするシェフのイリヤ・ポソヒンさんは、「スコブリャンカは知名度からも人気度からも、ロシアの伝統的なサラダ“オリヴィエ”の極東版とも言える存在となっています。地域を訪れる人たちは誰もが食べたくなる一品ですが、それもそのはず、この料理は正しく作ればとてもおいしいものなのです」と話す。
きれいに洗ったククマリアを水の入った鍋に入れ強火で茹でる。沸騰したらアクをとり、塩、香辛料を加え、蓋をして2時間煮る。
火を止め、鍋のまま一晩置く。翌朝、ククマリアを取り出し、玉ねぎと小麦粉大さじ1を加えて炒める。別のフライパンで細切りにした豚肉または鶏肉を炒め、塩を加え、蓋をして蒸し煮にし、玉ねぎを加える。
肉が出来上がったら、炒めたククマリアとトマトペースト、ブイヨンスープ1カップを加えて煮る。沸騰したら、ニンニクやお好みの香辛料などで味を整える。出来上がったらしばらくそのまま寝かせる。
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