新オランダ島、サンクトペテルブルク
スタニスラブ・ザブルダエフ撮影/タス通信新オランダが登場した(造船に必要な2本の運河がつくられた結果、島が生じた)のはサンクトペテルブルクとほぼ同時の18世紀初頭。だが、市民が初めてここに入れたのは2011年のこと。3世紀にわたり、海軍当局がここを守り、閉鎖していた。
新オランダ島= ロマン・ピメノフ撮影/タス通信
島は当初、ピョートル大帝の指示で1704年に起工された海軍省造船所のものだった。当初、島には真のオランダの造船所の雰囲気が漂っていた。オランダの造船者と運河から、この場所は新オランダと名づけられた。
島には18世紀に船庫がつくられ、19世紀に海軍刑務所がつくられた。1894年にはロシア初、世界6番目の模型船や模型潜水艦の試験プールもつくられた。島にはバルチック艦隊の倉庫もあったことから、2004年まで閉鎖されていた。
新オランダ島=ピョトル・チモフェエフ撮影
2010年にロシアの大富豪ロマン・アブラモヴィチの会社「ミルハウス」が島の改修を落札し、アブラモヴィチの夫人でモスクワの現代美術館「ガレージ」の創設者であるダリア・ジュコワ氏が、プロジェクトのキュレーターになった。2011年から2013年まで夏季限定で試験運営され、今年8月27日、新装オープンした。
新オランダ島=ピョトル・コヴァリョフ撮影/タス通信
地元の住民セルゲイ・ニコラエヴィチさんは、郊外から息子を連れてオープンの日にやってきた。「6月にモスクワのゴーリキー公園に行って、芝生の上で走っている人、バレーボールをしている人、バドミントンをしている人を見てうらやましいと思った。すごくリラックスした雰囲気だった!新オランダはゴーリキー公園より小さいけど、いろんなことが許可されてる街一番の場所だよ」
ミルハウスの関係者ジョン・マン氏によれば、このプロジェクトには60億ルーブル(約90億円)が投じられており、作業が完全に終了するのが2025年ごろの予定だという。
新オランダ島=ピョトル・コヴァリョフ撮影/タス通信
島では現在、児童向けに歴史的なフリゲート艦「ピョートルとパーヴェル」風の木製の遊具が、大人向けにパビリオンがオープンしている。パビリオンでは9月25日まで、ガレージ美術館企画の若手芸術家の展覧会「感覚的な経験」が開催されている。
天気の良い日、芝生の上で寝転がり、庭園を散歩し、フリスビー、ペタンク、バドミントンで遊び、またフランス・パリのリュクサンブール公園の有名なデザインのイスでピクニックをすることができる。
新オランダ島=ピョトル・チモフェエフ撮影
文化とライフスタイルのウェブサイト「アフィシャ・ル」のエカテリーナ・デメンチエワ編集長は、このような場所が保守的なサンクトペテルブルクの住民に必要だったと考える。「サンクトペテルブルクのクラシックなプログラムは優れているため、数十年と変わらなかったりする。だが何らかの現代的な要素も必要。ベルリンではテンペルホーフ空港の中を散歩することなんて考えられなかったが、今は可能。同じように、閉鎖されていた半軍事島が、今は公園。テンペルホーフはただの野原だけれど、新オランダはとても美しい。公園というだけではなくて、カフェ、人、芸術のあるヒップスターの特別な小地区。ここをどんな風にとらえていようと、皇族のサンクトペテルブルクの輝きとエルミタージュ美術館の豊かさを体感した後で、若者に囲まれながらカフェの菓子パンを食べるのは、かけがえのない瞬間」
新オランダ島=ピョトル・チモフェエフ撮影
ここではさまざまなイベントが開催されている。11月には、この島で最初に建てられた歴史的な元鍛冶場の建物がオープンする予定。建物内にはレストラン(今のところ、新オランダ島には食べ物を提供するキオスクが2ヶ所あるのみ)と創作スペースができる。
冬になるとスケートリンクができ、新年に向けて、電飾や市民による飾り付けのあるクリスマスツリーが登場する。イベントのスケジュールはウェブサイトで確認できる。
新オランダ島=ピョトル・コヴァリョフ撮影/タス通信
島の訪問は、サンクトペテルブルクの中心地の散歩と組み合わせた方が良い。最寄りの地下鉄駅はアドミラルチェイスカヤ駅(1.9キロ)で、少し離れたところにセンナヤ・プロシチャジ駅(2.4キロ)もある。モイカ川の岸辺から見る新オランダの景色は最高。
または、聖イサアク大聖堂まで行き、コンノグヴァルジェイスキー通りを進み、アドミラルチェイスキー運河を渡る。
飲食物を持って島に入ることは許可されていないので注意。新オランダ島の入島規定はウェブサイトに記載されている。
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