ロイター通信撮影
シベリア南部のハカス共和国で12日、火災が発生した。小規模な火災は強風にあおられて約40市町村に燃え広がり、30人以上が死亡、600人以上が負傷し、約5000人が家を失った。ハカス共和国では非常事態宣言が発動されている。
また、これに続いてイルクーツク州、アムール州、トゥヴァ共和国、ブリヤート共和国、アルタイ地方、クラスノヤルスク地方、ザバイカリエ地方でも火災が起きた。小さな発火点は、シベリアのケメロヴォ州からモスクワ市郊外までの国内全土で消されている。森林火災の総面積は、公式なデータによると、10万ヘクタールを超えた。
「グリーンピース・ロシア」防火プロジェクトの責任者グリゴリー・ククシン氏がロシアNOWに説明したところによると、空地の火災は、火災ではなく、発火点として記録されるため、全体的な統計には反映されないのだという。「ハカス共和国とザバイカリエ地方の市町村の火災は、森林火災ではなく、空地での事象の結果。これらは発火としてのみ手続きされるし、それゆえに災害の規模を評価することは困難。草が広く燃え始めたことが当局者によって明らかにされたハバロフスク地方でも、同様の状況はくりかえされるかもしれない。あとはロシア西部でも」
ボルガ川流域に暮らしている年金生活者タチヤナ・エフテレワさん(58)によると、毎年乾いた草が燃やされているという。「それ以外の方法なんてあるのかしら。重要なのは火をしっかりと見ていること。ここのステップでは強風が吹くから、物置が燃えることもある。でも家が焼失したところなんてここにはないわ」
燃えてしまう理由
主な延焼の原因は、放置された野焼きと強風ではないかと考えられている。ククシン氏によると、気候変動によって、世界で火災をめぐる状況が悪化しているという。「今年のロシアの春は大変。雪が少なかったし、早々にとけた。ロシアの火災の大部分が野焼きを原因としている。人々は自分の畑や農地で野焼きをし、土壌をきれいにしている」
これが唯一の原因というわけではない。地方政府は発火が起こるとわかっていても、抑制することができないという。「森林防火関連の資金が地方で不足している。連邦予算から地方に配分されるものだが、今年は経済危機によって予算が減額される」とククシン氏。また、地方はしっかり対応できていることを示したいがために、火災をすぐに認めず、非常事態も宣言せず、火災領域を過小申告する。
どんな解決策があるのか
ククシン氏は、野焼きに対する罰則を定める法律が必要だと考える。「大統領から指示があり、野焼きの責任に関する法案が作成されたが、採択されなかった。現在、再び下院(国家会議)に提出された」
すぐに野焼きをなくすことはできなくとも、まずは始めなければならない。野焼き管理機能を担うのは警察ではないかと、ククシン氏。「地方の行政が統計をゆがめないように監視することも必要。それと、状況を把握していながら、何もしなかった知事に対する措置も必要。現在は被災者に住宅を提供する問題に全注目が集まり、悲劇を許した役人は逆に感謝されている」
現在すでに、野焼きと役人の過失に対し、25件の刑事事件が立件されている。また、ザバイカリエ地方の国家森林局の局長も拘束された。ロシア連邦林業庁は、地方自治体の防火状況の確認を急いでいる。
被災者への特別給付金
21日にハカス共和国を訪れたプーチン大統領は、復興費用として政府がすでに6億8000万ルーブル(約16億円)を配分したことを明らかにした。現地の社会政策省は、すでに136万ルーブル(約313万円)を送金したことを報告した。
被災者は一人当たり1万ルーブル(約2万3000円)、さらに家が完全に焼失した場合は、一人当たり10万ルーブル(約23万円)の補償金を受けとる。財産の一部が失われた場合は、一人当たり5万ルーブル(約11万5000円)の補償金を受けとる。
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