ザビードヴォ大統領公邸で行われた非公式の会でメドベージェフ大統領と現在議席を占めている政党の党首=コメルサント紙撮影
ロシアでは国家会議(下院)の選挙が12月に実施されるが、政治と選挙に失望した人、無関心な人が増えている。その理由は現代ロシアの政治風土にある。
綱領を持たない政党群
形の上では7つの政党が登録され議席を争うが、現在議席を占めているのは「統一ロシア」、自由民主党、共産党、「公正ロシア」の4党である。これらの政党は明確なイデオロギーと綱領を持っていない。
与党「統一ロシア」の本当の指導者は、党員ではないプーチン首相である。最高権力者であるプーチン氏が「外から」指導する党だ。
この党は「政権党」と呼ばれているが、権力の下に党が一方的に従属している。したがって、権力の都合で、党の綱領、政策も変わる。事実上綱領がないから、どんなスローガンも打ち出せるし、何の義務も負わずに政策決定を行い、自身の立場を強化できるのだ。
事実、これまでの選挙でも、「統一ロシア」は、メディアに形式的な選挙綱領を公表しただけで、公開討論で他党の綱領との優劣を問うことをしなかった。
「看板」と実際の中身が一致しないのは、この党に限らない。共産党は色んなビジネスに積極的だし、ソ連時代に弾圧してきた正教を支持している。自由民主党は、実は国家主義政党という「羊頭狗肉」ぶりだ。
こうした結果、有権者は綱領にさっぱり関心がない。モスクワ・カーネギーセンターの政治学者ニコライ・ペトロフ氏は「政党にイデオロギーがないのは現政権のせいではなく、ソ連崩壊後、ロシアが自国のイデオロギーの軸を見いだせなかったのが原因だ」と言う。
有権者の失望
世論調査機関レバダ・センターの最近の調査によれば、ロシア国民のおよそ半数は政治の現状維持を、半数は変化を望んでいる。同時に、政治に失望し関心を失った人の割合も増えている。選挙の公正さへの不信感も募る一方だ。
また、12月の選挙に参加する用意のある有権者は52%。前回2007年選挙の同時期では53%だった。参加するか分からないという人の数は5%増えた。
投票するつもりはないという人の大部分(34%)は、自分が投票してもしなくても同じこととみなしている。また、有権種の圧倒的多数(70%)は、議員は「自身の選挙公約を履行していない」と考えている。
与党への根強い不信感の一方で、野党陣営もまた、国民の広範な支持は得られていない。