20~21世紀のAKの進化

Vitaly V. Kuzmin/vitalykuzmin.net
 世界で最も普及しているライフルは75年前に作られた。大きな変化を遂げただろうか。

 第二次世界大戦はアサルトライフルの新時代を開いた。自動小銃はサブマシンガンよりも強力だが軽く、標準的な長いライフルに比べて便利だった。

 戦場にアサルトライフルを最初に導入したのはドイツだった。独ソ戦序盤、彼らはフルオートマチック・ライフルStG-44で敵を驚かせた。ドイツの敵国は未だに小口径のサブマシンガンとセミオートマチック・ライフルで武装していたからだ。それまで戦場でStG44と同様の効果を発揮できるのはマシンガンだけだった。

 ドイツのアサルトライフルは新時代の7.92×33 mm弾を使用し、毎分600発撃つことができた。世界中の軍がこの兵器の有望性に気付き、できるだけ早く自国の兵士用に自国版のアサルトライフルを作ろうとした。

 ソビエト軍も例外ではなかった。

AK-47

AK-47

 第二次世界大戦末、ソ連軍司令部は軍の制式アサルトライフルの選抜試験を行った。

 彼らが求めていたのは特定の基準を満たす銃だった。その基準とはまず、沼や泥にも耐え得る頑丈な銃であることだ。そして毎分600発撃てることも条件だった。

 次に、分かりやすく、使いやすい銃でなければならなかった。

 さらに、安くて量産が容易でなければならなかった。

 これらすべての基準を満たしたのが最初のAK-47だった。この銃は200㍍離れた標的を仕留められる新時代の弾薬を使用できた。

 「設計が単純で、メンテナンスが簡単かつ最小限で済むこのライフルは、比較的短くて便利だった。中等の威力を持つ弾薬の有効射程は最も現実的な戦闘距離に即していた。そして最も重要なのは、AK-47が銃に対する究極の安心感を兵に与えたことだ」とカラシニコフ・コンツェルンの軍事技術協力部長、ウラジーミル・オノコイ氏は言う。

 彼が指摘するように、AKの主な特徴は新しい7.62×39 mm弾だった。これにより、銃はライフルの威力とサブマシンガンの連射速度を兼ね備えるようになった。

 こうして使用者はバースト射撃をしたり、当時のライフルのように100~200㍍先の標的を撃ったりすることができた。マガジンの装弾数は30発で、戦場で携帯できる弾薬の数も増えた。

 とはいえ、最初のAK-47はまだ粗削りで、たくさんの改良を必要としていた。この銃は信頼性と運用上・生産上の基準を満たしていたが、十分な精度を欠き、当初は重すぎて使いにくかった。

 AKのデザインが試験に合格してソビエト軍に採用されたのは1949年のことで、その後間もなく改良のため軍需工場に送られた。

AKM

 「AKM」は「近代化されたAK」を意味する。1950年代末に採用され、カラシニコフのプラットフォームを有名にしたすべての要素、量産のしやすさ、頑丈さ、耐久性をすべて備えていた。 

 例えば、最初のAK-47は当初は打ち抜き加工で作られており、高頻度で不良品が生まれた。そのため生産過程は徐々にフライス加工に切り替えられていった。

 「AKMのAK-47からの主な改良点は、重量が軽くなり、生産しやすくなったことだ。AKMのレシーバーは打ち抜き加工で作られ、生産がしやすく安価で済んだ。これによりルーマニアやハンガリー、ポーランド、東ドイツなどのワルシャワ条約機構の国々により早く、より効果的に技術を伝えることができた」とオノコイ氏は指摘する。 

 最初のAK-47にはマズルブレーキもまかった。そのため銃は射撃中に兵士の手の中で跳ね、精密射撃はできなかった。そこで技師はAKライフルに「安定化機構」を導入した。銃を「落ち着かせ」、安定性を高める仕組みだ。これで銃にサイレンサーを取り付けることもできるようになった。

 新しいライフルは軽くなり、250㍍以内の標的を安定して撃てるようになった。

 AKMには暗視スコープや40 mm擲弾発射器、銃剣も取り付けることができた。

 要するに、小さな「改良」がいくつも加えられた結果、世界で最も頑丈で理想的な銃が生まれたのだ。

 ところでAKMは現在でも世界中の軍で使用されており、国旗や国章にも採用されている。どの国の国旗にAKMが描かれているかについてはこちら

AK-74

AK-74

 1960年代初頭、カラシニコフの技師はAKMの改良を試みていた。彼らは最新のポリマーと弾薬を試し、ライバル国がそれぞれの市場でどのような銃を提供しているか研究した。

 同時にベトナム戦争が勃発し、米軍は最新のM-16ライフルを世界に披露していた。これは軽いアサルトライフルで、新世代の弾薬を使用しており、戦場の兵士に新たな可能性を開いていた。そこでソ連の技師は新世代の反動の小さな弾薬を使用する自国製アサルトライフルを開発することにした。

 当時最高の技術をすべて詰め込んだカラシニコフの新しいアサルトライフルがAK-74だった。

 AK-74が使用する5.45×39 mm弾は従来のAKMの弾薬に多くの点で勝っていた。

 「AK-74は5.45×39 mm弾を使用したが、弾丸の速度が速く、したがって有効射程が伸びた。新しいマズルブレーキはリコイルとマズルの跳ね上がりを抑え、弾薬は軽くて運びやすくなった」とオノコイ氏は言う。

 まず、新しい弾薬は銃をより安定させた。7.62×39 mm弾は強力だが、撃った際のリコイルと弾のばらつきが大きすぎた。新しい5.45×39 mm弾はリコイルが小さく精度が上がった。

 また新しいAK-74はAKMよりも100㍍遠くまで撃てた(射程はそれぞれ350㍍と250㍍)。

 またカラシニコフはストックとグリップ、マガジンを新素材のポリマーで作った。ポリマーは従来のAKで使われていた金属や木材と比べて耐久性で劣らず、かつ銃の重量を劇的に削減した。これにより軍は兵士に予備のマガジンを4本持たせられるようになった(つまり戦場の兵士が予備の弾薬を120発持てるようになった)。 

 とはいえ、新たに導入されたこうしたイノベーションにもかかわらず、他国の軍はなかなかAKMからAK-74に切り替えなかった。理由は簡単で、アサルトライフルと弾薬の在庫をすべて処分して新しい銃と弾薬を採用するのはあまりに高くついたからだ。インドやパキスタン、ワルシャワ条約機構加盟国、アフリカ諸国、部分的に中国やその他の国がその例だ。

 ちなみに、これは現在ロシアと米国が新世代のアサルトライフルや弾薬の採用と量産に消極的な理由の一つでもある。近い将来どんな銃がAKやM-16に代わり得るかについてはこちら。

AK-12

AK-12

 2020年代半ば、ロシア軍はAK-12というAK-74の近代化版を採用した。

 「AK-12は現代の光学装置や暗視装置を使えるよう設計されており、調節可能なストックや瞬時に着脱できるサプレッサー、バレルに固定されていないハンドガードを特徴とする。精度が上がって照準長が伸び、ゴーストリング・アイアンサイトも備えている」とオノコイ氏は指摘する。

 AK-12はどの体型の人間にも合うようストックを手動で調節できる。上下左右にピカティニー・レールがあり、光学装置やフラッシュライト、レーザーポインターなどのアクセサリーを取り付けることができる。この小さな特徴により、兵士は敵を暗視スコープと赤いドットで見ることができるようになった。従来のAKのアイアンサイトではこれは不可能だ。

 新しく導入されたマズルブレーキは夜間の発砲時の閃光を隠し、敵に居場所が知られることもない。 

 カラシニコフ・コンツェルンの専門家によれば、新世代のAKは都市や地方での小戦闘というより、主に隠密で静かな射撃任務に焦点を当てたものだという。

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